佐藤克巳

三つの顔の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

三つの顔(1955年製作の映画)
4.5
日活アクション映画の傑作「勝利者」に直結する井上梅次監督と一番弟子舛田利雄のオリジナル脚本で製作された快作。伊藤雄之助が運なく一文無しに転落しながら、飯田蝶子等の善意に助けられ、約束を誓った東京駅での再会に胸踊らせだが、二人は来ず街頭ビジョンで水島道太郎の拳闘試合を目撃し佳境に入る。ビルマ戦地のフラッシュバック挿入の元ボクサー高品格との映画史的死闘は頗る見応えあった。安部徹との八百長を破り制裁を受けるが、危機一髪、伊藤が庇い安部も戦友と知り許す。結核の妻新珠三千代は気絶しながらも観戦し美酒に酔う結末。あと一人三國蓮太郎は蚊帳の外ではあったが、白熱」張の追跡劇となった狂気のカタワ者を演じ見事だった。また、新珠の美しさは絶品であり、飯田等全女優陣の助演は涙ぐましい出来映えだったのを記憶する。
佐藤克巳

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