EDDIE

バリー・シール/アメリカをはめた男のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.7
これぞアメリカの黒歴史!パイロットしながら麻薬密売で私腹を肥やした大罪人。ドキュメンタリータッチの独特の演出に慣れるまで時間を要するが、トム・クルーズの爽やかな笑顔に魅了され騙される一歩手前。金品は身に付けていれば押収されないらしい…

〈感想〉
公開当時トム・クルーズ主演だというのにノーマークだった本作。
最近Netflixでやたら見掛けるのでマイリストに入れてこのタイミングで鑑賞。

“このタイミング”というのが、私の過去の仕事の関係者でとんでもない悪態をついてしまった事件が起きたことです。
詳細は言えませんが、本作のバリー・シールのように職業や役職を活かして私服を肥やしていたというおどろおどろしい話。
本作を観ながら、まさにそんな身近な事件を思い出しました。まぁこのバリー・シールほどスケールはデカくありませんが、多額のお金が動いたというのは同様。

で、中盤からバリーの妻ルーシーの弟JBが登場してから一層面白くなります。
このJBを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズがめちゃくちゃ憎たらしいんです。
まぁクズ野郎なわけですね。仕事もせずに環境に甘え、しいては豪邸に住む姉の元に転がり込み、ある事情で得たお金で車を買い女にいい格好するわけです。しかも相手の女は未成年。

ここで私は客観的に映画を観ているはずの自分に違和感を持ったのです。
JBをクソ野郎のように感じているけど、よくよく考えたらバリーも大概じゃないかと。
犯罪を堂々と犯しながら仕事に勤しむバリーをマシだと捉え、よりクソ野郎に映るJBばかりを悪い目で見てしまっていたのです。
完全にトム・クルーズの爽やかな振る舞いに騙されていました。

冒頭に書いたようにドキュメンタリータッチな演出とホームビデオのような見せ方をするので、最初は慣れないかもしれませんが、バリーを中心とした彼らの挙動が気になり始めたら一気に引き込まれます。

まぁこれが実話だったというのですから驚き。
観ている私たちだけではなく、作中の登場人物たちもバリーに次々と欺かれている様子がもし身近に起きていると想像すると恐ろしいばかりです。
とにかく奥さんが気の毒で。

〈キャスト〉
バリー・シール(トム・クルーズ)
モンティ・"シェイファー"(ドーナル・グリーソン)
ルーシー・シール(サラ・ライト)
ダウニング保安官(ジェシー・プレモンス)
JB(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
ジュディ・ダウニング(ローラ・カーク)
デイナ・シボタ(ジェイマ・メイズ)
ホルヘ・オチョア(アレハンドロ・エッダ)
ジェームズ・ランゲル(ベニート・マルティネス)
クレイグ・マッコール捜査官(E・ロジャー・ミッチェル)
ルイス・フィンクル(ジェド・リース)
カルロス・レデル(フレディ・ヤテ・エスコバー)
パブロ・エスコバル(マウリシオ・メヒア)
オリヴァー・ノース中佐(ロバート・ファリア)
ジョージ・W・ブッシュ(コナー・トリニアー)

※2022年自宅鑑賞130本目
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