やわらか

ラ・ラ・ランドのやわらかのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.4
残念ながら”音楽をテーマにした映画”としては、事前の評判ほどは楽しめませんでした。

冒頭、高速道路でのミュージカルシーンの長いカットでは、一気に惹き込まれました。しかし、観終わった後の感想は「ピンと来なかったな」。主に音楽の扱いが雑だったことが原因だと思います。

具体的に言うと、ゴズリング演じるジャズピアニストが、知人が売り出し中のポップバンドからキーボーディストとしてオファーを受ける、みたいなシーン。ジャズにせよポップにせよ、売れるためなら(その特徴を生かして客演とかでなければ、)わざわざスタイルの合わないミュージシャンを呼ぶ必要なんてないでしょう。ジャズミュージシャンが片手間でもポップスを演奏できる、ジャズミュージシャン>ポップミュージシャンみたいな描写は古臭いというか幼稚というか、違和感ありまくりです。ちなみに、ピアノはゴズリング本人が弾いてたとのことで、そこは素直に素晴らしいと思います。

その他、現代の若いピアニストがフリージャズ(?)、あるいはオールドスタイルのジャズをやりたいとか、マイルスに張り倒されそうです。ジャズを弾く人、あるいは聴く人には違和感あるんじゃないかなぁ。全体的に、現代劇の筈なのに感覚が80年代ぐらいの設定に思えるんですよね。

例えば同じく音楽をテーマにしたジョン・カーニー監督の作品は、「はじまりのうた」でのNYとLAのミュージシャンのスタイルの違いとか、「シング・ストリート」のBTTFやスリラーっぽいビデオクリップとか、自分の好きな音楽を映画で表現したいんだ、という強い思い入れが伝わりましたが、この映画はそう感じなかったですね。たまたま音楽を素材にした映画、映像として受け取るべきなんでしょうか。

自分はふだん音楽を聴いてる方なので、上記のような感想になりました。しかし、全編にちりばめられたミュージカルシーンは、古い映画のオマージュ含め気持ち良くなるところがたくさんあり、値段分は十分楽しめるとは思います。あと、ストーリーは結末含めてフツーだと思いました。
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