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二重生活のiiparaのレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
3.7
決して手放しで面白い!!っていう作品ではないけど、私自身としては、よくできているし、映画らしい映画で最後まで見応えあるし、結構、好きな映画だ。

理由のない尾行、これが、論文のテーマなんて、教授の無茶振りもいいとこだけど、ひとりの人間を尾行し、秘密に吸い込まれ、同化していく、この心理状態が自然に描かれていると思う。

これは、ひとえに門脇麦の演技力によるところだ。正直、この映画を観るまでは、彼女の魅力はあまりわからなかったが、あの独特の声や喋り方が、論文のために尾行というリアリティのない主人公に、妙なリアリティを与えている。

そして、今、無責任なのに憎めないかっこいい男をやらせたら、この人の右に出る者はいないんじゃないかという長谷川博己の憎みきれないろくでなしぶり。この人も実際、隣に住んでそうだし、浮気をする男は、総じてこの長谷川博己の役の男に集約されるのではないかと思うぐらいはまっていた。この人が悪者に見えないところが、この映画の1番の成功かな。

ラストの「あなたが私をどう思っていたか、永遠に私は知らない」って言葉は、まさにそうだと思う。この言葉を納得できる人なら、この映画は観る価値があると思う。
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