取り壊し間際の映画館「大黒座1892~2014年」を使って撮影されたとのこと。
出演者は良いし、仙人や謎の老人の設定も面白いけど畳み掛けてくるような展開がなく物語は印象に残りにくい。
だからという訳ではないけど映画館取り壊しの実際の映像は逆に強く印象に残ります。観客が残した感謝の寄せ書きの壁まで無くなるのです。建物解体の映像が逆行するのには涙がでます。
いろんな人々が訪れた映画館、親に連れられ初めて映画を観た子ども、友達同士、デート、学生、仕事帰りのサラリーマン、家事育児奮闘中の主婦、ひまつぶしの人、老夫婦。
観る目的もそれぞれ、でも暗闇のなかスクリーンで展開する別世界が何かしらその人の心を癒し元気にしたはず、眠りのなかの夢のように当たり外れで一喜一憂したはず。
その場所が無くなる。遅かれ早かれいつか訪れる時。このフィルマで記録される観た場所、映画館名は建物が無くなっても残してほしいものです。
この作品の内容から話がそれました。この作品は阿藤快さんの遺作でもありました。