重い…
これはナチスによるユダヤ人迫害がテーマというより、人間性について問う作品だったと思います。
夫が“妻にそっくりな女性”のことが、本当に妻と分からないのか、実は気付いているのか最後まで分からなくて目が離せなかった。「妻は死んだ」と、生きている可能性が無くなったわけではないのに言い張るのは、死んだと信じたいが故、盲目になってしまっていることが原因なように感じた。
途中で明らかになっていく事実にはもう… ホロコーストは政府だけの責任じゃなくて、見過ごした一般市民にも責任があるのではないかなと思いました。
初めにナチスによるホロコーストが1番のテーマではないという趣旨のことを書いたけれど、やはり戦争やホロコーストが無ければこのようなことがなかった訳で、市民同士の裏切り、ナチスによる戦後の市民の傷がひしひしと伝わってきて、辛かった。
この作品の題名に惹かれて、「あの日のように抱きしめて」という題からロマンチックな恋愛映画を想像しましたが、もっと観ていて辛くて重い作品でした。ですが、出会えて良かったと思える作品。そしてラストシーン、とても良かった。