母親からも拒絶されてしまった一人ぼっちの僕。それでも何とか生きようと、一人捨てられた船の中で生活を始める。
同じく愛されることを知らずに育ったのであろう、男ばかりを求める母。
僕の家庭環境も、一人船で暮らしていることも、大人たちは見て見ぬ振り。
この町では、僕はいるようで、いない。
どんなに冷たくあしらわれても、どんなに嫌われても、どんなに町の人に馬鹿にされても、僕にとってはたった一人の愛してほしいお母さんなのに…こんなに自然なことなのに叶わない。
母親に愛されないことは、子どもにとって殺されたのと変わらない。
「ママに嫌われちゃった。僕悪いことしたかな…消えちゃいたいよ」
これまで気丈に振る舞っていた少年がそう言って泣くシーンは、痛くて見ていられない。
エンドロールで、人のいない町を歩いていく僕の小さな背中に耐えられず、僕よりまだずっと小さな我が子を抱きしめてしまった。