うめまつ

ロブスターのうめまつのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.4
最終的に人間が一人残らず動物になって、画面中がモフモフに埋め尽くされて終わるのを期待してたのに、動物の占拠率5%未満で大変寂しい。しかも犬がかなり可哀想な目に遭うので「なんでこんな嫌な気分になりながら、興味のないおじさんの逃走劇を見てるんだろう。。」と何度かなった。

でも好きな動物を選べるっていうのは結構良心的ですね。《人間としての死=動物の選別》という強烈な傲慢さも感じるけど。そして動物になった後の意識はどうなるのか、人間だった記憶は残っているのか、人間年齢や身体的特徴(近視とか足が悪いとか)はそのまま反映されるのか、あのホテルでロブスターになった場合、誰かが海まで運んでくれるのか自力で行くのか、とかのディテールが気になっちゃう。犬になったお兄さんを弟が飼ってたから、一旦家族の元に帰されるのかな?いや、お兄さんが帰巣本能で帰ったのかな?そんなのシュールな名犬ラッシーじゃん。寧ろその道中の方が見たいよ。

平時から猫になりたいと願いながら生きてるので、苦しまずに?人間としての生を終えられる上に好きな動物にまでなれるなんて、私にはユートピアに見えてしまって全然本題に入れない。ヨルゴスさん、こんな不条理SFコントみたいな設定で最終的には純愛を描いちゃうなんて、かなり屈折したピュアハートをお持ちと見た。
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