kkkのk太郎

アクアマンのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

アクアマン(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「DCEU」シリーズの第6作にして、海底王国”アトランティス”の王子アーサーの活躍を描く『アクアマン』シリーズの第1作。

アーサーの弟でもあるアトランティスの王オームは、地上を滅ぼすために海底の国々を征服し強大な軍隊を形成しようと画策する。
アーサーはゼベル王国の王女メラと共に、彼の企てを阻止するために海底へと向かう…。

監督/原案は『ソウ』『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワン。

○キャスト
アーサー・カリー/アクアマン…ジェイソン・モモア。
メラ…アンバー・ハード。

アーサーの武術の師匠でもあるアトランティス王国の参謀、バルコを演じるのは『スパイダーマン』シリーズや『ファインディング・ニモ』シリーズの、レジェンド俳優ウィレム・デフォー。
アーサーの母、アトランナを演じるのは『パディントン』『LION ライオン 25年目のただいま』の、レジェンド女優ニコール・キッドマン。

製作総指揮を務めるのはザック・スナイダー。

ライバル「MCU」がガンならこっちはワンだっ!!というノリだったのかどうかは知らないが、ハリウッドきってのヒットメーカーであるジェームズ・ワンを召喚して制作された本作。
約2億ドルの制作費に対し、全世界興行収入は10億ドル以上。これはDC映画史上No.1の記録であり今でも破られてはいない。いついかなる状況でもとんでもない結果を残すワンちゃん。彼は映画の神かなんかなのか?

前作『ジャスティス・リーグ』(2017)の制作途中で、陣頭指揮を執っていたザック・スナイダーがシリーズから離脱。一応本作にも製作総指揮としてクレジットされているが、多分名前を貸しただけで製作には携わっていないのだろうと思われる。

そんなザック離脱後の一作目である本作。いやザックがいないだけでここまでカラーが変わるのかいっ!∑(゚Д゚)
MCUとの差別化という意味もあったのだろうが、ザック時代のDCEUは非常にシリアスな作風だった。
よく言えば重厚、悪く言えば陰鬱。とにかくどのキャラクターも深刻ぶっており、人助けよりも自分探しに夢中。常に曇り空みたいな作品ばかりだったように思う。
正直この方向性には「う〜ん…」なんて思っていたのだが、ここに来てそれを180度変換。シリアスさとは真逆の、竹を割ったような快作が誕生してしまいました!!

デカァァァァァいッ説明不要!!193cm!!!97kg!!!ジェイソン・モモアの登場だ!!!
筋肉モリモリマッチョマンのナイスガイ、ジェイソン・モモアが八面六臂の大活躍。
彼の存在感の強さ、迫力、厚み、そんなものがもう画面からビシビシ伝わってきますねぇ。モモア密度1,000%。こんなん面白いに決まってるやん。

そんなモモアが主人公なんだから、映画の中身がお上品なんてことがある訳がない。
ヒーロー、海洋アドベンチャー、トレジャー・ハント、肉体アクション、ホラー、宇宙戦争、さらには怪獣まで!!まさに娯楽の全部載せ海鮮丼!!
全てにおいて過剰!やりすぎ!登場人物全員脳筋!
知能指数が10くらいしかない単純さ。こんなヒーロー映画が見たかった!!

日本の怪獣映画好きを公言しているワン監督。それは誰の目から見ても明らかなくらい、映画の中に如実に表れている。しかし、本作から感じたのは怪獣映画よりもむしろ東映特撮のスピリット。この人絶対『仮面ライダー』も好きだろっ!!
ブラックマンタの造形といい、アトランティス王国の兵装といい、敵のコスチュームは完全にニチアサキッズタイム。このCG全盛の時代に、ここまで作り物感満載の着ぐるみを出してくるとは!!
海中シーンを撮影するため、本作には最先端のCG技術がバンバン投入されている。にも拘らず、コスチュームには本物のスーツを用い、アクションは生身の殺陣。この本物志向のこだわりこそがこの映画のキモなのではないでしょうか。
特撮で育ったものとして、この映画に流れる特撮愛にはやはり心打たれるものがあります。1,000倍の予算で作られたニチアサ特撮。ワン監督の心意気や良し!!

『仮面ライダー』の怪人臭をぷんぷん漂わせたブラックマンタ軍団と戦うシチリア島のシークエンスが、この映画最大の見どころ。この場面とにかく一から十まで面白い!
驚くべきはセットの豪華さ。シチリアの街並みを完全再現しちゃったというのだから、監督の本物志向には脱帽するしかない。

そんな超豪華なセットをぶっ壊しながら行われる、ブラックマンタとアクアマンとのくんずほぐれつな取っ組み合いは見もの。
だがそれ以上に目を引いたのは、逃げるメラを追う兵士を背中越しにカメラが追いかけるシーン。「壁なんてものは壊すためにあるんだ(物理)!」とでも言わんばかりのフィジカルプレイ。『男塾』かお前は💦
このシーンの臨場感がとにかく素晴らしい。壁をぶっ壊しながら猛進する兵士。途中でカメラが窓から外へ出て、屋根の上を逃げるメラに視点がシームレスに移行する。そのまま今度はマンタvsアクアマンへ…という具合に、とにかくアクションの見せ方が上手い。観客の視線を巧みに誘導しつつ、今現在の戦況を自然に視覚化。今何が起こっているのかが一目でわかる。
ワン監督がなぜこれだけヒット作を連発出来るのか、その理由はこのシークエンスを観ればわかることだろう。

娯楽要素満載、爆発も満載と、とにかく楽しいスーパーヒーロー超大作♪ただ、これだけ単純な映画なのにランタイムが143分もあるというのはやはり長すぎる。
ひとつひとつは面白いのだが、何でもかんでもやろうとしすぎ。過剰に詰め込んだせいで映画としての纏まりを欠いているのは事実だろう。

また、物語的な見どころのなさも気になる。アーサーという名前が表しているように、この映画は典型的な貴種流離譚。それ自体が悪いわけではないが、あまりにもストーリー展開が型通り。これでは興味を最初から最後まで持続させるだけの牽引力は生まれない。

オーム王とブラックマンタ、2人のヴィランが立ちはだかるがそのいずれも扱いが中途半端。
人間の海洋汚染に怒るオーム王と、父親を見殺しにされたことに怒るブラックマンタ。この2人の怒りに対してアクアマンは明確な答えを出していない。ただ武力でねじ伏せただけである。そのため、これだけ竹を割ったかのような映画であるにも拘らず、鑑賞後に煮え切らないモヤモヤ感が残ってしまった。
また、この2人は明らかにモモアに比べると魅力に欠ける。見るからに弱そうなので、彼らと対峙したところでアクアマンが負ける様には到底思えない。もっとモモアに肉薄するようなカリスマ性を持つスターを用意して欲しかった。…まぁそんなの誰がいるんだって話なんだけど。ロック様かステイサム?

まぁ色々と思うこともあるのだけれど、これまでのDCEUとは一線を画す爽快感、そしてバカっぽさにはついつい頬が緩んでしまう。
本作の大ヒットをみればわかるように、ザックには悪いがやはりみんなこういうのを待っていたのだと思う。もしこれがDCEU第1作だったとしたのなら、シリーズの現状は今とは違うものになっていたのだろうに…。

映画ライターのてらさわホークさんが言っていたと思うのだが、本作の締めは「1・2・3・ダァーッ‼︎」。
そんなことある?と思っていたらそんなことあった。
萌える闘魂アントニオモモア。元気があれば王にもなれる。ご唱和ください。いくぞっ!!1・2・3・ダァーッ!!!🌊🌊🌊
kkkのk太郎

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