星男

この世界の片隅にの星男のネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

戦争を題材とした作品となっており、アニメで再現されていて珍しいなと思い興味を持って観ようと決心。主人公のすずが僕と同い年(18歳)ということで、この時代にどのような生き方をしたのかを知りたかった。彼女のキャラとしてはノンビリでマイペースで天然、いわゆる天真爛漫で僕が想像していた、その時代とかけ離れたキャラ像であった。しかし、この天真爛漫な性格の彼女の心の変化が、この映画で重視されている戦争の過酷さや残酷さを伝えているのだと思う。彼女の心境がうまく表現されていると感じた。1.嫁入りした時、身内がいない不安 2.周作の姉である怪子と慣れない環境 3.晴美を失ってしまった時 4.絵を描くための右手を失った時 5.晴美を失い怪子に人殺しと言われた 6.焼夷弾が北條家に落ちてきた時 7.呉への爆撃が多くなり故郷に帰りたいと願った時
これらは、すずの性格だから人一倍、僕たちの心に響いたのではないだろうか。絵が描けなくなり、心の拠り所がないすず。おそらく、すずは今まで「気持ち」を絵に書き留めていたのではないだろうか。右手を失ってからは、感情表現が多くなった気がする。そんな彼女は、より生にしがみつき、また世界を愛そうとしていたのではないかと感じた。戦争によって、すずの大切なものが壊されていく。それでも、その現実さえも受け入れて立ち向かおうとし、それ自体愛そうとしたすず。だからこそ、それを裏切った、奪った戦争に対し終戦の玉音放送が流れた時、すずは印象的な発言をしたのではないか。ここまでの展開ですずは大切なものを失い続け、居場所がなかったのだが、終幕を迎えるにつれ、この映画の題名でもある「この世界の片隅に」の意味が示されており、とてもよい作品であった。
方言や風習が難しかったが、キャラや話の展開に圧倒された。遊廓とか、その時知っていればもっと深入りできたのかなと思った。
星男

星男