のんchan

疑惑のチャンピオンののんchanのレビュー・感想・評価

疑惑のチャンピオン(2015年製作の映画)
3.8
お気に入りのスティーヴン・フリアーズ監督作品鑑賞15本目。
前から気になっていたものの、タイトルからして察しが付くので敬遠してました。でも実話は知っておきたい精神なので、驚きの内容だったけど観て良かった。

ガンを克服し『ツール・ド・フランス』で7連覇(1999〜2005年)を果たしたアメリカ人のランス・アームストロングの半自伝。
薬物疑惑がありながらも長年王者として君臨していたのだが、とうとうドーピングの発覚で7連覇の全てを取り消され、さらには自転車競技から永久追放された。
この作品の基になったのはイギリスのサンデー・タイムズ誌記者デヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)が執念で疑惑を追及したノンフィクションである。


ランス(ベン・フォスター)は全米アマチュアチャンピオンを経て1993年に世界選手権ロードレースで優勝する。
1996年(25歳)で体調不調になり《精巣腫瘍》と診断され、更に肺と脳にも転移していて生存率50%を告げられる。
過酷な化学療法を受け、脳の浸潤部を切除する手術を受けた。
小康状態になってからリハビリとトレーニングで鍛えていくが、やはり根性が違うのを感じる。
前から気にしていたスポーツ医学の権威であるイタリア人医師ミケーレ・フェラーリ(ギョーム・カネ)を訪ね指導を仰ぐようになる。
ミケーレは選手のパフォーマンスを向上させる独自のプログラム(=ドーピング)の実践者だった。
直ぐに自身の力以上の結果が付いてきて、世間ではガンを克服しての復活劇とセンセーショナルとなり、その才能が高く評価されていく。
しかし、優勝するには1人だけでは難しい。グループとして周りでカバーして助けて動く仲間がいるのだった。そこに声掛けされたのはまだ若いフロイド・ランディス(ジェシー・プレモンス)だった。フロイドもミケーレ医師の指導下で一緒にドーピングをしていく。

ランスは怖い者なしになり、過信を全て記録に刻んでいく。周りのスタッフに口止めし、自転車以外のCM等の大きな仕事がどんどん舞い込んでくるのだった。
結婚して子供にも恵まれ名実共に世界一を誇っていた。やがて、それは破れる時が来る。


ベン・フォスターは体重の増減が激しい俳優だが、この時は筋肉を付けた後、ガンを患った身体にするのに痩せている。そしてまた更なる筋肉隆々に。撮影がどの順番かは知らないが、観る者は驚くしかない。この役柄に合っていたし、強気な姿勢と表情は上手い。
脇役たちも本人画像にそっくり。
当時26歳で若くホッソリとしたジェシー・プレモンスも良いです。悩む姿、疑惑に耐えられずに行動する役柄を真摯に演じていました。

人は輝くものに目が行くが、中身を見抜く力は必要。悪が蔓延ってはダメ。真実を明かし、正当に咎められクリーンな世の中であって欲しい。
きっと知られていないだけで、どこかで何かは動いているのだろうけど...
凄く嫌な世界を垣間見ることになるけど、知らない世界って興味深い。
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