ひろぽん

闇金ドッグスのひろぽんのレビュー・感想・評価

闇金ドッグス(2015年製作の映画)
3.7
『闇金ドックス』1作目

若くして組長にまで登り詰めながら、手下の不始末でヤクザの世界を追われてあっさり引退した安藤忠臣。その後、闇金業者の小中高志から債券の回収術を学び、自らも闇金の金貸しとなることを決意。地下アイドルのえりなを応援するオタクニートの良夫が客となるが、借金の回収に苦戦を強いられる。一方、えりなも悪徳事務所社長に様々な経費を請求され、アイドルを続けるために闇金に手を出してしまう…安藤忠臣が闇金の世界へ飛び込む物語。


主人公の安藤忠臣は『ガチバン』シリーズから派生したキャラ。

ヤクザの組長から一気に転落した忠臣が、闇金で借金をした状態から抜け出すために、悪戦苦闘をしながらラストファイナンスという闇金を開業して借金を完済するまでのお話。


部下の不始末からヤクザの世界を追われ、闇金から借りたお金で闇金稼業を始める忠臣。

地下アイドル「ケロリズム」の推し活のために忠臣から金を借りる無職ニートの良夫。

地下アイドルの「ケロリズム」を続けるために事務所に高額なお金を搾取されながらも、アイドルとして生きていくために闇金からお金を借りるえりな。


この3人の債務者のリアルな借金地獄の負の連鎖が描かれる。

闇金にとって義理人情に熱いヤクザという顧客は最高のカモであり、律儀に利息を払い続ける忠臣の芯の通った行動はかえって自分を苦しめる行動で観ていて辛い。

闇金を始めて債務者から搾取しようとするも逆にカモられたり、金を全く返す気のない債務者に苦戦したり、高額の利息で首が回らなくなっていく苦悩が裏の世界を見ているようで凄かった。

小中からアドバイスを受け闇金稼業を頑張るもドンドン泥沼に落ちていく忠臣。だが、彼の泥臭く必死に駆け回ってる姿はとてもカッコよかったし、元ヤクザということで折れない根性は半端ない。

借金を踏み倒そうとする息子をかばおうとして包丁で刺そうとする母親や、親のスネをかじり愛を履き違えてアイドルに金をつぎ込むオタク、オタクから金を巻き上げアイドルからも諸経費で巻き上げようとする悪徳事務所の社長、バックにヤクザがいることを理由に金を踏み倒そうとする禿げサラリーマンetc.....

ゴミのようなクズな人間たちが多くてムカつく奴らばかり。

一度泥沼に落ちると中々抜け出せないし、騙される奴が悪いというような弱肉強食の世界で、悪人を懲らしめて成敗する事もないので救いがなく本当に切ない。

アイドルにどっぷり浸かる良夫はキモいし、生活のために何でもしてしまうえりなも自業自得だなと思った。ラストの展開は胸糞悪いが、一発逆転させる忠臣の発想はぶっ飛んでて好きだった。

1作目が1番救いもなく、爽快感もなく、ただダークなどんよりした雰囲気が漂ってて目を背けたくなる。2作目以降それが改善されていくから結構好きなシリーズ。何がなんでも成功させようとする山田裕貴のキリッとした眼差しはカッコイイし、高岡蒼甫の悪そうな役も似合ってて良い。

2作目以降高岡蒼甫が登場しなくなってこれで見納めなのが残念。

タバコの1番美味い瞬間は貰いタバコというのは名言だわ。
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