茜

スウィーニー・トッド 悪魔の理髪師の茜のレビュー・感想・評価

4.0
ティム・バートン版しか観た事なかったけど、こちらの方が圧倒的にグロテスクで良い。
それは表現の過激さとか表面的な意味ではなく、本作は人間というどうしようもない生き物の持つ純粋・嫉妬・屈折といった複雑さが極めて生々しく知的に描かれている気がする。
ティム・バートン版はかなり分かりやすく改変されていたんだなってしみじみ感じたし、苦く残るエグみがかなり省略されてる。
鑑賞後にのしかかる余韻の重さが桁違い。

救いがなく、汚く、暗い、大人向けのビターな話。
映画を観たというよりも何となく小説を読んだ後の余韻に近くて、おそらく台詞の一つ一つに美しく詩的な言葉が多かったからかなと思う。
「地獄などない、私たちが住むこの世界こそ地獄だ」いやー、共感しかないっす。

倫理観を完全無視して言うならば、私はこれを切ない純愛のお話だと思いました。
このレビュー書きながらもずっとぐちゃぐちゃした重たい余韻がグルグルしてるんですが、これは実際観て感じて欲しい。
これがテレビ映画っていうのが信じられん、BBCってすごいな。


…何をどうしてこんなにティム・バートン版と間違えたレビューばっかり投稿されてんだよ怖ぇわ。
茜