ケイスケ

スキャナー 記憶のカケラをよむ男のケイスケのレビュー・感想・評価

3.4
どうしても『サイコメトラーEIJI』を思い出しちゃう世代。

“残留思念”を読み取ることができる超能力者、仙石和彦。かつては芸人の丸山竜司とお笑いコンビ“マイティーズ”で人気を博すも、この特殊能力のせいで人間不信に陥り、コンビも解散。今はマンションの管理人として静かな隠遁生活を送っていた。そんなある日、マイティーズご指名で人捜しをしてほしいという秋山亜美が現われ、ひょんな成り行きから丸山とともにこれを受けるハメになる仙石だったが…。

野村萬斎と宮迫博之というなかなか珍しいバディ物が気になり鑑賞。仙石役の野村萬斎は相変わらず変人演技が上手いし、丸山役の宮迫も芸人ならではの喋り演技が良かったと思う。とくに最初に商店街で単独ライブするところのたたみかけるような罵倒ギャグはちょっと笑った。笑えない綾小路きみまろみたいな。

前半は少しチープさもあり微妙さが目立つが全体的には悪くないと思う。特に面白かったのは倉庫で残留思念を読み取る場面。ここは記憶の映像がかなり怖いし、そこからトラックのクラッシュ、倉庫の爆発と派手にたたみかける演出がかなり良かった。記憶に出てくる犯人の不気味さもホラー的で良いと思う。

あと好きな場面は仙石が思念を読み取った人物から自分の能力を肯定される場面。思念を読み取ると、対象者が自分にすり替わるような感覚になるため「あなたの才能は素晴らしいわ」という台詞がまるで仙石に言ってるような演出なんですよね。犯人の意外性など楽しめるポイントは多いです。

ただやっぱりバディ物としては一度仲違いしたコンビが2人の力で立ち上がる描写が欲しい。本作は仙石と丸山が復活するきっかけが、真相に近づいたから勢いでまた一緒に行動するだけであまりカタルシスが無いんですよね。あと気になったのはラストに行くにつれ情緒的で長いのが好みから外れていました。

ツッコミ所も多いですが、なかなかの拾い物だったと思います。あからさまにB級全開なメインビジュアルを見た時は「なんかクソつまんなそうだな」と思ったんですけど(失礼)、オリジナル脚本の日本映画として良質な部類かと。古沢良太脚本って当たり外れの差があるイメージがあったので本作は当たりでしたね。やったぜ。