みおこし

マーロン・ブランドの肉声のみおこしのレビュー・感想・評価

マーロン・ブランドの肉声(2015年製作の映画)
3.2
マーロン・ブランドが生前に残した膨大な音声テープをドキュメンタリーとして編成した一本。

想像以上に過酷な人生を送られてきたことを知らず、なんだか色んな意味で衝撃的な一本でした。
アカデミー賞辞退の例の事件などに代表されるように、ハリウッドきっての反逆児として知られ、撮影時のエピソードを聴く限りでもかなり気難しい俳優さんなのかな...と勝手に思っていたのですが、とても真面目すぎるが故に、闇が深い人物だったようです。でも、役にかける情熱やこだわりは誰よりも熱く、時にコミカルな仕草を見せる時もあって、彼の本当の人となりを深く知れる良い機会となりました。
若い頃と晩年とではかなり性格もキャリアの方向性も変わってしまったようなのですが、そこには彼の家族にまつわる悲劇も大きく絡んでいたのだと思うと、とっても切ない...。父親との確執があったからこそ、自分は子供達にとってより良い父親でいようと心がけたものの、実際はマーロン自身も子育ての過程で大きな壁に直面してしまったようです。うーん、本当に親でいることって、難しいんだなぁと...。

1972年度のアカデミー賞の辞退の件はどこかで詳細を確認したいと思っていたのですが、本作ではかなりその問題に切り込んでくれているので、なぜ彼が辞退したかの理由も知ることができました。公民権運動にも大きく関わっていたようで、自分のキャリア以上に、世間の人種問題や紛争解決への思いを尊重しながらお仕事していたんだなあと。当然アカデミー賞側からしたら大変なサプライズ(アクシデント)だったかもしれないけど、今となってはかなり勇気の必要な行動だったと思うから、マーロンが一俳優である以前に、一人間としても大きな野望・夢を持った意欲的な人だったんだなと学びを得ました。

なんだかほんの少し彼を見る目が変わった気がします。それにしても若い頃、特に『欲望という名の電車』『乱暴者』の頃のマーロンはイケメンすぎる...!!
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