MikiMickle

ドント・ブリーズのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
3.9
舞台はデトロイト
過去の繁栄とはうって変わって、退廃の目立つ寂れた都市…
そこに住む若者3人は、裕福な家を強盗しては小金を稼ぎ、いつかデトロイトを脱出しようと夢見ている。

ある日、盗品仲買人からの情報で、ある家にターゲットを定める。
まわり4ブロックも完全廃墟となっている家に住むのは、イラク戦争で盲目となった元軍人。娘を事故で失い、その示談金として多額の金を隠しもっているらしい……
躊躇しながらもその家に忍び込むものの、そこで待っていたのは、想像も絶する恐怖だった……
というストーリー。

老人怖い映画、なめてた奴が凄かった映画。

まず面白いのが、感情移入の移行。
娘を事故でなくした盲目の老人という、本来ならば同情と悲しみしかないような存在のおじいさんが、だんだんと恐怖の存在へと変わっていきます。
被害者から加害者への変化。
目が見えないにも関わらず、我が家を自由自在に行き来し、彼らを追い詰めていきます。強いったらない‼

そして、加害者であるはずの若者も、最初はただの体たらくな奴等かと思いきや、デトロイトの荒廃の被害者であり、悲しい現実を背負っていたり、家族愛や恋心があったりと、段々と感情移入してきます。
目線が若者へとになっていくのです。

そして、その恐怖がまた怖い‼
まっ暗闇で襲いかかる恐怖……
盲目ホラーではオードリー・ヘップバーンの『暗くなるまで待って』というのがありました。盲目の女性宅に忍び込まれる恐怖。まっ暗闇での鬼ごっこ……
あれと立場が真逆。しかも、おじいさん、めちゃくちゃ強いし、超人的。

題名は原題・邦題共々、「息をするな」。
小さな物音ひとつで位置を察知するので、こっちまで息を殺 して見てしまう…… ま、彼ら、小声で喋ったりもしているのだけど。 それも、いつばれるのだろうかとドキドキ……
更には、頼みの綱のスマホもダメになり、ブレーカーも落とされ…完全に暗闇に…… この真っ暗闇の見せ方も上手かったです。
POV方式が主流になってきて、暗視カメラ映像を容易に使う映像が多い中、
あと、ヒッチコックの『裏窓』のカメラのストロボ技法もよく使われる中、
それを使わずに、真っ暗ではあるのだけど人の存在はわかるというギリギリのラインの暗闇感が、見ていて逆に新鮮でした。

また、なかなか家から出る事の出来ない恐怖もあります。超人じいさんがまたすごいもので、窓やらを全部塞ぎます‼ 逃げたくても逃げられない…… 暗闇の中、どこに逃げてもおじいさんが襲ってくるという密室ホラーでもあるのです‼

そしてこのおじいさん、後半ではある事実が判明。これがまた本当に気持ち悪い… なんかもう、ぞわわわと… なんか、落ち着かなくなりながらみてしまいました。かなりのサイコ…なんだけど、そのサイコっぷりが単純でベタなものでない所も気持ちが悪く…嫌な闇と執念を感じ、想像すると余計にゾワゾワっと…吐きそう

あと、犬ね‼怖い、怖い、怖い‼‼ この犬の怖さをちょくちょく挟んでくるから、怖い犬恐怖症の私としては、ギャーとジタバタしてしまった
MikiMickle

MikiMickle