kkkのk太郎

素晴らしきかな、人生のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

人生に絶望した会社経営者ハワードが、ある不思議な出会いを通して自己を見つめ直してゆくヒューマン・ドラマ。

主人公ハワード・インレットを演じるのは『メン・イン・ブラック』シリーズや『スーサイド・スクワッド』の、レジェンド俳優ウィル・スミス。
ハワードの親友で共同経営者、ホイット・ヤードシャムを演じるのは『ファイト・クラブ』『グランド・ブダペスト・ホテル』の、名優エドワード・ノートン。
「愛」を演じる役者、エイミーを演じるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『はじまりのうた』のキーラ・ナイトレイ,OBE。
ハワードとホイットの友人で経営幹部、サイモン・スコットを演じるのは『アントマン』『オデッセイ』のマイケル・ペーニャ。
同じくハワードとホイットの友人で経営幹部、クレア・ウィルソンを演じるのは『タイタニック』『ホリデイ』の、レジェンド女優ケイト・ウィンスレット,CBE。
「死」を演じる役者、ブリジットを演じるのは『RED』シリーズや『モンスターズ・ユニバーシティ』の、レジェンド女優デイム・ヘレン・ミレン,DBE。

1946年公開の映画『素晴らしき哉、人生!』。公開から70年以上経った今でも、史上最高の映画の一つとしてよく名前が挙げられる名作中の名作である(観たことないけど😅)。
本作は、この46年版を現代風にアレンジしたリメイク作品ではない。
…………。

そう、リメイク作品ではないのである!!
リメイクでもリブートでもリマスターでもリミックスでもない、全くの別物。それでこのタイトルって、そりゃ詐欺ってもんですよ💢

ちなみに原題は『Collateral Beauty』(幸せのオマケ)。
『素晴らしき哉、人生!』(原題:『It's a Wonderful Life』)とは全く関係ない。
つまりこのタイトル詐欺は日本の配給会社が勝手にやったことなのだ。
これはあまりに酷すぎる…。訴えられてもおかしくないほどの暴挙!!
大体、本作と『素晴らしき哉、人生!』って、作中の季節がクリスマス・イブって事くらいしか共通点ないじゃん!いい加減にしろマジで!!
というか、内容的にはむしろ『クリスマス・キャロル』の方が近くない?どうせタイトル詐欺で釣るならいっそのこと『ウィル・スミスのクリスマス・キャロル』にしちゃえば良かったんじゃない?

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題: 『Guardians of the Galaxy Vol. 2』)や『黒い司法 0%からの奇跡』(原題:『Just Mercy』)など、気でも狂ったかのようなダメ邦題は多々ありますが、悪質さという点では本作が圧倒的なのではないでしょうか?
「史上最低邦題決定戦」が開催されれば、間違いなく本作は優勝候補の筆頭となるでしょう!!

と、映画の内容とは関係ないことをツラツラと書き綴ってしまいました😛腹が立ったんだもん。しょうがないよね。
まぁ正直、映画の内容は特に語ることない。97分という短めのランタイムで、とっても観やすかったです。ここはとっても美点。

サクサク観れるし、嫌いなタイプの映画ではないんだけど、オスカー級の超豪華キャストを起用してまで撮る必要あった?というのが率直な感想。
絶望の淵にいる男の下に、「死」「時間」「愛」を名乗る3人の男女が現れる。3人と会話を続けていくうちに男の心境にだんだんと変化が訪れる…。
と、話のさわりだけ聞くと「おっ!結構面白そうじゃん!」と思うのだが、この設定が上手く作用していない。だって主人公、この3人とほとんど会話してないんだもん。
それぞれと2回づつくらいしか顔を合わせないため、この出会いにより彼の心に変化が…、とか言われても全然ピンとこない。

大体この設定でいくなら、彼らの正体はエドワード・ノートンたちが雇った役者である、というネタは後半まで伏せておくべきなのでは?冒頭でバラしちゃってるからせっかくのファンタジー感が薄れてしまってる。
「死」「時間」「愛」が目の前に現れた!嘘だろ!?→と思いきや、実は彼らの正体は役者でしたーテヘペロッ⭐︎→と思いきや思いきや、やっぱり彼らは形而上学的な存在だった…のかも。
この方が、展開に起伏が出来てストーリーが面白くなったような気がする。

セラピーの相手が実は別れた元妻でした、というのが本作のオチ。
観客をビックリさせようとしたのはわかるけど、これはちょっと展開に無理がありすぎる。
「君の名前は?」とかウィル・スミスが聞いてたから、そりゃ観客としては「ウィルと彼女は初対面なんだな」と思うけどさ。それってつまり、自分の元妻の顔すら認識出来ないほどウィル・スミスがイカれちゃってたってことでしょ?
それは流石に突飛すぎるというか、そこまで狂人と化していたらそれはもう即座に入院させた方がいいよ😅
これならまだ、あのセラピーの女性はウィル・スミスのイマジナリー・フレンドだった、という展開にして『ファイト・クラブ』みたいにしちゃった方が飲み込みやすかったかも。ちょうどエドワード・ノートンも出演してることだしさ。

「死」「時間」「愛」が、実はウィル・スミスだけではなくノートン、ウィンスレット、ペーニャ、それぞれが向き合わなくてはならないものだった、という展開はなかなか考えられているな、と思った。
ただ、3人それぞれの葛藤と解決を描き切るには97分というランタイムでは到底足りない。ウィル・スミス1人分ですらあんまり描き切れてなかったからね💦
ウィルとノートンだけに焦点を当てるとか、もう少し登場人物が整理されていれば、もっと物語に深みが出たかも知れない。

絶望した人間が回復する物語って大体みんな好きなジャンルの筈。役者の力量も申し分ないし、ファンタジックな設定も良い。
それでここまで薄味に感じるっていうのは如何なものか?もっと面白く出来る題材だと思うので、なんだか勿体無い気がしてしまった。
監督は『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケルか…。この人の作品とは肌が合わないのかも😓
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