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素晴らしきかな、人生のminoriのレビュー・感想・評価

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)
4.0
まず始めに、よく有りそうなタイトルや『ラブ・アクチュアリー』を想起させるようなポスター、そして監督の過去作『プラダを着た悪魔』の名前から、軽いコメディタッチの作品だと思って観たら、絶対に駄目だ。

案の定、そんな心持ちで軽率に鑑賞した私は、ボディブローを喰らった。
何発も。

今作は、自分が今までに観たヒューマンドラマ系の作品の中でも、かなり高いレベルの作品だと思う。
ウィル・スミスを始めとした芸達者な俳優陣による、心揺さぶられる演技。
監督の抜群なセンスから生み出される映像美。
何もかもが絶妙なバランスで、印象に残りながらも押し付けがましくない、強烈だがシンプルな作品に仕上がっている。

少し真相が曖昧になっている部分などがあるが、その曖昧さがまた良い。
何もかもをハッキリさせる必要は無いのだと思わせてくれた。

本作では抽象的な台詞が数多く登場するが、その言葉の意味を考えることで、自分の人生や感性に深く向き合う事になった。

そして登場人物に共感すると同時に、自分自身の経験なども思い出し、かなり心が抉られた。
だが、最後はなんとなく救われたような気持ちにもなった。

それ故、良作ではあるが、観る前にかなりの覚悟が必要であるし、観る時の自分の状態によって、かなりメンタル面が左右される。
とても良い作品だが、続けて何度も観ることは出来ない作品だと思う。

兎にも角にも、良作。
ぜひ多くの人に一度は観てほしい。
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