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ダークタワーのkuuのレビュー・感想・評価

ダークタワー(2017年製作の映画)
3.7
『ダーク・タワー』
原題 The Dark Tower.
映倫区分 G
製作年 2017年。上映時間 95分。
スティーブン・キングが1970年代から30年もの歳月をかけて完成させたライフワークともいえる小説『ダークタワー』シリーズを実写映画化。
ローランド役をイドリス・エルバ、ウォルター役をマシュー・マコノヒーがそれぞれ演じる。
ニコライ・アーセルがメガホンをとった。
余談ながら、ローランド役にはダニエル・クレイグ、クリスチャン・ベイル、ヴィゴ・モーテンセン、ハビエル・バルデム、マッズ・ミケルセンが主役候補に挙がってたそうっす。

ニューヨークで暮らす少年ジェイクは不思議な夢に導かれ、時空を超越する荒廃した異世界に迷い込んでしまう。
現実世界と密接するその世界では、世界の支柱である『タワー』を巡り、タワーを守る拳銃使いの戦士=ガンスリンガーのローランドと世界の崩壊をもくろむ黒衣の男ウォルターが壮絶な戦いを繰り広げていた。。。

スティーブン・キングの小説は結構読んできた。
『ダークタワー』シリーズやスピンオフも既読。
現在のジョージ・R・R・マーティンの『氷と炎の歌』(Song Of Ice And Fire)のようなモンやった。
ちなみに『氷と炎の歌』は米HBOにて『ゲーム・オブ・スローンズ』、および『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』としてドラマ化もされているしこちらの方でご存知の方は多いと思います。
どっちの原作も作者の最も大きな業績として立ちながら、永遠に完成しないのではないかと思われた骨太の叙事詩と云える。
スティーブン・キングのジャンルを超えた今作品の原作シリーズは、黙示録的な世界から神秘の塔を目指し、現実を越えて永遠に戦い続ける厳しいヒーローを描いており、1982年に『ガンスリンガー』で始まった。
しかし、その続編は長く続き、まるでキングが大作を完全に棚上げしたかのように思われることがしばしばあった。
それに、アンソロジー、シリーズのバックストーリーを拡大した一連のグラフィック・ノベル、一見無関係に見えるキングの小説や物語の中でクロスオーバーする長いシリーズなど、7冊の本に及ぶ物語の完全版がある。
それらを頭に叩き込むように読んでる友達もいる。
その友は、7冊の本を1本の映画に収めようとしてんのは無理があると云う。
確かに今作品は、主に1冊目の本と2冊目の本の一部について描かれているし、特に上映時間95分という短い時間では、ファンの頭の中にあるキャラ達とこの世界の壮大なイメージに沿うことはできないとは思う。
特に、この物語が主流の観客のために改造され、見慣れたファンタジーの形に平板化されたことに適応するのは困難でもある。 
しかし、個人的には原作も読んでるが、十分に楽しめた。
デンマーク人監督ニコライ・アーセルが手がけた『ダークタワー』は、ところどころがあまりにも単純化されているため、まったくの一般的な作品に見えてしまうのは否めないが。
しかし、同時に、キングの読者だけが理解できそうな細部や内輪ネタが散りばめられていた。
今作品は、スタジオを変えての開発、再撮影、遅延など、よく知られた問題のあるプロセスから生まれたそうで、常に自分自身と戦っているような感じがする。
今作品は、ストーリーの脈絡を手取り足取り教えてくれる必要があると思われるシリーズ初心者と、自分で物語のギャップを埋め、映画ではほとんど重要視されていない事柄に重みを感じることができる『ダークタワー』ギーク達を交互に対象にしているって感じかな。
しかし、想定される観客の半分ずつにアピールしようと努力した結果、この映画は葛藤し、不安定になり、具体的なディテールと広い空想のストロークが混在する不可解な作品になってしまったのも否めないかな。
でも、繰り返しにはなりますが、嵌まるまではいかないまでも、個人的には十分楽しめました。
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