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気まぐれ渡世のodyssのレビュー・感想・評価

気まぐれ渡世(1962年製作の映画)
3.0
【芦川いづみの修道女】

軽薄でふわふわ生きている青年・宍戸錠と、修道女・芦川いづみの物語。ただし、恋愛関係に陥るわけではなく、青年がひょんなことから見知らぬ男から赤ん坊を預かることになってしまい、おまけにその男が殺されてしまう。そこにこれまた偶然知り合った修道女が絡んでくる、という展開です。

この展開ゆえに、前半はなかなか面白くできています。

残念ながら後半が平凡。脚本がマズイと思うな。後半はあんまり修道女が活躍しないので。せっかく芦川いづみが修道女になっているわけだから、もっと彼女を活かす筋書きを考えるべきだった。

発端は上述のように赤ん坊を預かり、しかも直後にその父親が殺されて赤ん坊はみなしごになるわけですが、芦川いづみ演じる修道女は「私も戦争孤児で」と言いながら赤ん坊への共感を隠しません。この映画が作られたのは1962年、つまり戦後17年。戦争孤児として育った若者がそこここにいて全然おかしくない時代だったのだなあ、と今さらのように思いました。
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