あでゆ

ベイビー・ドライバーのあでゆのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.9
幼い時の事故の後遺症によって耳鳴りに悩まされながら、完璧なプレイリストをセットしたiPodで音楽を聴くことで驚異のドライビングテクニックを発揮するベイビー。その腕を買われて犯罪組織の逃がし屋として活躍するが、デボラという女性と恋に落ちる。それを機に裏社会の仕事から手を引こうと考えるが、ベイビーを手放したくない組織のボスは、デボラを脅しの材料にして強盗に協力するように迫る。

公開時にも観ていて、英語版BDで何度も名シーン観直してたりはしてたけれど、WOWOWで流れていたので久々に全編通しての視聴。
ちなみに初見鑑賞日は10/3だった。

考えれば考えるほどアホな映画だし、登場人物がなに考えてるのかさっぱりわからないけど、とにかく贅沢だし美しいのでそんなことどうでもよくなる。これが映画として求めるべき良さだと思う。
どのシーンとっても音楽PVのようにすべての環境と音楽がマッチする映像は、とても単純なアイデアだけど誰もやってこなかった。それに適当にやればただダサいだけになるところを非常に丁寧に作っている。

もちろん序盤10分弱のカーチェイスも素晴らしいのだが(『ドライヴ』のオマージュっぽいセンスもあって最高)、個人的にはその後のコーヒーを買いに行くところの「Harlem Shuffle」の歌詞通りにすべてが進行するシーンが最も好み。
音楽に合わせるためにパトカーのサイレンが無茶苦茶な鳴り方するところなんかは、幸福感のためにリアリティ完全に犠牲にしてて最高。見れば見るほど新たな工夫点に気づいてキリがない。
全編通して長回しが多いのも好みですね。

話はとてもミクロで、自分の居場所や生き方を見つけるというもの。
その中でもこの作品の何が美しいかといえば、主人公がやったことに対してしっかりと罪を償うという非常に誠実なラストを描いているところ。
ただし一連の善行が伏線となって罪が軽減されるというところにカタルシスが与えられて、非常に感動的。

音楽の使い方だけでなく俳優の使い方も上手い。ジョン・ハムにマジモンの悪役やらせてみたりとか、実は善人のケヴィン・スペイシーとかはあまり観ないやり口だろう。ジョン・バーンサルはもうちょっと出て欲しかったな。
あとリリー・ジェームズが最高に可愛いよね。
メインビジュアルの美しさとかも文句ないですね。我が家ではスチールブックを飾っています。
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