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バービーのtouchのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
"真実を知ってしまったら 二度と元には戻れない"
* * *
間違いなく映画史に残る重要作!
グレタ・ガーウィグの意匠に脱帽…
これだけの大作で作り手のイデオロギーが削り取られず、公開まで漕ぎ着けていることにまず驚かされる。
特にバービーを製造販売するマテル社にも容赦なく自己批判的な言及がなされるので「よく許可を取った!」と感嘆する。
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徹頭徹尾受け手のリテラシーを信頼した風刺コメディで、リトマス試験紙のような作品だと思った。
プリンセス映画やロマンスものに見るお約束、あるあるネタをフェミニズムの観点から戯画的かつ露悪的に再提示することで痛烈な皮肉になっている。
一方で真に受けてしまう人もまだまだいそう…。
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グレタ・ガーウィグ監督の作家性を理解しているファンなら百も承知だろうが、彼女の作品だと把握して観に来ていない、なんなら「バービーが映画になったらしい。話題になってるし観に行くか」程度の認識の観客は度肝を抜かれるのでは。
それくらいキラキラした表層イメージからは想像できない骨太な内容。
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フェミニズム/マスキュリズムに触れたバービーたちがカルチャーショックを受ける姿を通して、観客は現実社会に遍在する不均衡や不平等に否応なく向き合うことになる。
どんな視点で観て、どんな印象をもち、どんな角度で語るかによって価値観が浮き彫りになる、これは"君たちはどう生きるか"の映画だ。
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