よくあるインド映画とは180°違う、かなり解釈の難しい、そして重い作品である。
是枝監督の「三度目の殺人」をかなり地味にした感じともいうのでしょうか。
とある日、下水管清掃員が殺された。
前日に、その自殺を促すような歌詞の歌を歌ったとしてカンブレという初老の男が逮捕される。
カンブレは恐らく(というかほぼ確実に)無実ではあるのだけど、全てを受け入れたように押し黙り、感情も表に出さない。
裁判や事件の展開は彼を取り巻く人間や弁護士によって描かれており、その中にはインドの司法の曖昧さが浮き彫りにされている。
同じ国でありながら、英語とヒンズー語が飛び交い、通訳を必要とする被告人たち。
そこにわずかな歪が生じてしまうのも無理がなく、いつのまにか高学歴者(弁護士や裁判官)だけのやり取りで置いてきぼりにされてしまう被告人たちの虚しい姿が印象的だった。
ストーリーに起承転結があるわけではないためひたすら淡々として地味なのだが、その中に度々挿入される主婦たちの何気ない会話だったり、物語とは関係のない事件の裁判の様子が現代のインド社会をしっかりと見せてくれて興味深い。
結局気持ちは晴れずにもぞもぞするのだけど、それを敢えて煽っているような映像演出がとても繊細だった。

『バーフバリ』シリーズで王を称えるもいいですし、『きっと、うまくいく』で笑って泣くのも最高に楽しいのですが、たまには今作のような社会派インド映画はいかがでしょうか？

あなたのインド社会へのイメージが覆る…かも？！


【省略レビュー🇮🇳】

自殺を煽るような歌を歌ったという至ってこじ付け極まりない理由で裁判にかけられた老人の話。

てっきり感情剥き出しの激アツエモエモ逆転裁判が繰り広げられるのかと思っていたら、意外にも落ち着いて淡々と進むドキュメンタリータッチの作品で、インド社会の現実の映し出し方にはフィリピン社会の闇を映した『ローサは密告された』と通ずるものを感じた。

固定ショットの連続が淡白さに磨きを掛けており、予想に反してストーリーは裁判にかけられた老人ではなく周りの人々(特に彼の弁護士)を基点に展開される話なのが意外だった。また、老人の扇動的な歌云々の裁判だけの話かと思いきや、その後にまた別の裁判が待ち受けていたのが不意を突かれた感じでした。その裁判の繰り返し(セリフ上では老人の3度目の裁判)がインド司法制度の曖昧さや稚拙さを表していたし、インドの憲法に詳しくないから分からないけど表現の自由が未だに通用しない国なのかと驚かされた。(表現の自由があったとしても軽視されているか、警察権力の横暴が罷り通る社会なのだろう)

多言語なので裁判でも言語問題が生じたり、カースト制が立ちはだかったりと要所要所で見受けられるインドの社会問題が重くのしかかってくる。
今作の監督が上手いのは、バスなどの何気ない会話でそれを伝えること。実にさり気なくメッセージを発しているのが映画的で面白い。

ラストは無音のエンドロールも相俟って何とも言えない余韻が心に残るのだが、これがまた印象的で心地いい。

たまには歌って踊らない社会と真剣に向き合ったインド映画もいいですね。発展的なイメージのインドという国が、後進的な司法制度でしか機能していないという大国における地方の寂しい現実がジワジワ沁み渡ります。


【p.s.】
忙しくてレビューをしっかり書く機会が無いので短めに今年観た作品のレビューを投稿しています。
暇があれば正式なレビューと入れ替えますが、きっとそんな瞬間は訪れないでしょう。
だって、私ですからね。

• #マーチ鑑賞2018
• #インド
• #裁判

下水清掃員の遺体がマンホール内で見つかる。自殺に追いやる歌を歌ったとして、民謡歌手のカンブレが自殺幇助の罪で逮捕される＿＿✍️

インドの法廷ものは初だ😳🇮🇳

町の公演会みたいなところで歌っただけで、それが自殺の手助けになったぞ！ってすぐ逮捕されるの冷静にやばいな😅🗣️💦💦

証拠も何もないのに……
でもこういう差別ってよくあるんだろな……

もうなんか判事も適当に見えてくる😅ww

この映画観てたらなんか眠気が襲ってきて
何回か意識飛びました🫨😴笑笑

• #りんりんと！
• #reeのインド作品