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夜間飛行のkazataのレビュー・感想・評価

夜間飛行(2014年製作の映画)
5.0
これはスクリーンで見たかった……と心から思えた作品だから、シネマート新宿の特集企画かなんかでの再上映希望!

『後悔なんてしない』で長編映画デビューしたイソン・ヒル監督が描く、男子高校生の"純情×暴力"なケンカBL映画なんだけども……大傑作&大感動&大号泣でした!
(映画冒頭からヤン・イクチュン監督作『息もできない』を思い出しました…)
(ちなみにイソン・ヒル監督は韓国映画界で初めてゲイをカミングアウトしたってことでも有名らしい…)

中学の頃は仲良しだった二人が、高校生になったら一方は不良番長に、もう一方は冴えないクローゼットなゲイになって疎遠だったんだけども、ひょんなことから二人の間に歪な交流が再び始まって、互いに相手がかけがえのない存在であることに気づいていく……という物語。
(キャストの年齢的に高校生に見えないから、中学の頃のキャスト=年相応の別キャストと比べて「一体何年経過してんだよ!」ってツッコミ不可避というね 笑)

まず、何が良いって二人が会話を交わすんじゃなくてひたすらバイオレンスで交流を深めていく関係性だってこと!(笑)
(「自分の中にある感情は言葉じゃ表せねーんだよ!」ってなって暴力に訴えちゃうのは不良モノの定番だし、とっても韓国映画っぽい!!)

そして、荒廃したロケ地含めて舞台設定が最高!
『バーニング』や『パラサイト』以上に格差社会による閉塞感(=マイノリティの生きづらさでもある!)が、物語上だけじゃなくて絵で見て一発で伝わってくるから素晴らしい。
(タイトルにもなっている"夜間飛行"という名前の閉店したゲイバーの立地&美術がまた超絶ナイス!!)

他にも、アクション映画風な緊張感が持続する撮影や編集も素晴らしいし、印象的な楽曲の使い方もグッド!
(クライマックスで流れる歌が"二人が出会った時に流れていた歌"っていうのがさ……もう条件反射的に涙腺崩壊じゃん!!)

あと、名前の呼び方の演出にもやられちゃったんだけども……クライマックス直前である秘密が明かされた時に、フリ&オチがお見事だからマストで泣いちゃうってば!
(それに合わせて靴の演出も効果的!!)

暴力によって愛を表現するのって異性間だと見ていられないけど、なるほどBLだったら素直に見られて感動できる!……ということを痛感しました(笑)
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