明石です

心霊 ~パンデミック~の明石ですのレビュー・感想・評価

心霊 ~パンデミック~(2015年製作の映画)
4.0
玉手匣ロスで手を伸ばした、玉手匣シリーズと同じくアムモ98が製作するモキュメンタリーホラー。投稿映像からストーリーが形作られていく形式を受け継ぎつつ、最近の同ジャンルでは結構な長寿で、現在24作目まで(!)作られてて、終わっちゃう寂しさとはひとまず無縁なので安心して見始めた。色んな意味で突貫工事で作られた感満載のぶっつけ本番映画でした笑。

まず、玉手匣シリーズや、同ジャンルの金字塔コワすぎ!のブレブレ雑カメラを見慣れてるせいで、画角や視点の数に凝った「ちゃんとした」編集に逆に違和感を感じてしまった笑。テーブル越しに投稿者と会話するシーンでも謎に2カメを使ったりして、これ誰が撮ってるの?と疑問に感じちゃったり(あとで見直してみたら、2カメじゃなくて、カメラマンが会話のキャッチボールに合わせてフォーカスする相手を変えてるみたい。だとしたらなおさら不自然だ笑)。ディレクターやカメラマンがだらだら回してるあの感じがいいんだよなあと改めて思った。そこに映るスタッフ同士の和気藹々とした雰囲気がリアルに伝わってくるからこそ、編集に締まりがなくても落ち着いて見てられる。

そしてストーリーの根幹となる投稿映像に映る、白ワンピースに長い黒髪という超オーソドックスなスタイルの幽霊を、(おそらくは投稿者本人が演じてることを隠すためか)「老婆」と言い張るナレーションに笑っちゃった。多分これを見てる人はほぼ100%老婆じゃないことに気付いてるだろうに、ワード単位で強引に押し切ろうとする姿勢に並々ならぬパワーを感じる。

それからカメラを向けられてガチガチに固まり、棒読みになってしまう編集部の女性がとてもキュートでした。特に、戸口の前で不審がる投稿者の母親に対し「私たちはパンデミックという団体の者でして」という説明を緊張のあまり二度繰り返してしまうところが好き。パンデミックという名前はもちろん「団体」という言い方が怪しさ満点でクスクス笑っちゃう。そしてニコラスケイジばりに過剰な演技の投稿者さんとのギャップが凄い、、どちらかに振り切れてたらそれなりに自然だと思うんだけど、棒読みとオーバーのここまで両極端な混在はなかなか見れない気がする。おかげであいだに立つダイスケ君の抜け感のある(=明らかにやる気のない)演技に安心しちゃうのが不思議笑。

普段演技については(自分が棒読みしかできないこともあって)何も言わないし思わないのだけど、モキュメンタリーは、役者が役者に見えず、演技が演技に見えないことが醍醐味で、カメラを回してたらたまたま変なコトに巻き込まれてしまった素人さん!ってな感じに魅力がある(だから有名俳優は出てこない方がいい)と思うので、余計に固くならず頑張って、ではなく頑張らないでほしいと思う笑。まあそんなこんなで色んな意味で次作以降に期待のシリーズなのでした。

棒読み演技が気になるものの肝心の場面では工藤Dばりのパンチで投稿者を除霊する女性編集部員のお方、素晴らしく好きでした。謎にタメ口な感じも癖になる(次作からクビになるの淋しい、、)。そして終盤では、ダイスケさんが事故に逢ってしまい皆で駆けつけることに!という連続ドラマの次回予告みたいな展開に。しかも彼を写した映像には最初から「老婆」の霊が映り込んでいたという、、巻き戻して二度見したらしっかり映ってるのに、全然気づかなかった、、なんて上手い構成!!(比べるのも野暮ですが、この手のあとから見返すとという演出は、玉手匣にもコワすぎ!にもなかった)。これはすぐに続きも見ないと!
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