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レディ・バードのHKのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.5
たしか、ちょっと前のアカデミーノミネート作品だったなーくらいの認識でCS鑑賞。
観始めたものの、この女子高生かなり痛いよなー、母と娘の確執かー、オレ男だしなー、青春ものは苦手かなーやっぱり、などと思って観てましたが、観終わってみて後味は決して悪くありませんでした。

この主人公、自分であれ知人であれ、あるある感があるからこそ好きになれる人と嫌悪する人に分かれるのではないでしょうか。
観た年齢にもよるでしょうし、似たシチュエーションの真っ只中にいる人は映画でまでこんな思いを味わいたくないと思うかもしれません。

私の場合、女子でも高校生でもない、いいトシのオヤジがこの映画をはたして楽しめるのだろうかと途中までは思ってました。
でも観ているうちに、これは誰が観ても共感できる人物や出来事が必ずどこかに出てくる作品のようだとわかってきました。

主人公が免許を取って故郷の街を車で巡るシーンは、私自身が免許を取って実家の付近を周ったときの記憶と重なり、何とも言えない懐かしさと同時に、自分が子供の頃はこんなに狭いエリアが全世界だったんだと驚いたことも思い出します。

ところで、苦手と言いながらも昔の青春モノや恋愛モノ、そしてホラーも結構観ているのはナゼかと考えてみると、昔は劇場映画はたいがい2本立だったと思い当たりました。映画に行くときは目的の映画以外にも併映作品を観ていたわけです(なにこの組み合わせ? というのも多々ありました)。
でも、その結果、思いもよらず生涯のお気に入りとなる映画と出会ったりもしていたわけで、食わず嫌いを防ぐにはいい環境だったのかもしれません。おかげで今はどんな映画でも昔ほど抵抗がありません。

今はピンポイントで観たいものだけを選べる時代なので、そういう予想外の出会いが減ってしまったのは少し寂しい気もします。自分の選択眼がより試される時代ということですね。
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