やべべっち

創造と神秘のサグラダ・ファミリアのやべべっちのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

前は観ていて途中で眠くなりたった94分のドキュメンタリーを観終える事が出来なかった。

だが今回は違った。
スペインのカタルーニャ地方に未だ建設中のサクラダファミリア。
この構想を基本設計した歴史に名を残す建築家ガウディは1924年に亡くなっている。

仕事は人の想いだ。想いのある人が居なくなりその仕事が風化するというのが世の常だ。だがこのサクラダファミリアは違う。133年の時を超えてサクラダファミリア建設プロジェクトは今なお進行中である。

ガウディの考えはコンセプトのみ残っている。ガウディは地下の礼拝堂と生誕のファザードを設立して逝ってしまった。彼の遺体は礼拝堂に埋葬されている。

古代のエジプト王はその権力の象徴としてピラミッドを作った。インドの国王はモスクを作った。ならばこのサクラダファミリア製作のドライビングフォースは一体何なのか。

その想いを何故か引き継いだ日本人である彫刻家の外尾悦朗の存在が光る。彼は高校の教諭をしていたが退職、ふらりとこの土地に来てサクラダファミリアに魅せられ彫刻家となりサクラダファミリアプロジェクトに彼は命を注ぐ事となる。彼はガウディの視点に立つ為にキリスト教に改宗までしている。

サクラダファミリアプロジェクトは日々押し寄せる観光客のお陰でお金には困る事がなくなった。受難のファザード、栄光のファザード製作へ。昔は手作業だったプロジェクトはコンピュータのおかげで高効率化した。人々の想い、文明の変化。サクラダファミリアは作る過程に意味があった、ガウディのコンセプトを暗闇でもがきながら進める解釈がアートとしての意味を持つ。サクラダファミリア完成はそういった旅の終わりをも意味する。

サクラダファミリア(聖家族)は現在の人類の世界平和の為の建物たり得ているのだろうか。死ぬまでに行ってみたい場所ではある。