服部だった何か

ブラックルーム 異常性愛の檻の服部だった何かのレビュー・感想・評価

1.5
いつもタイムラインを眺めてるとミーハーな作品ばっかり観てる俺としては感心しきりや。
そこでよっしゃいっちょ俺も攻めの姿勢でいこうやないかと、そんなアグレッシブさを発揮して足を伸ばした。んやけど、攻め過ぎたかな、多分。

俳優であり映画監督である辻岡正人ワールド全開な本作。
公式HPを一目見ればほんまにここは2015年やろかと疑いたくなるような困惑を抱くことになるんやけど、これがなんと「21世紀型新感覚バイオレンス官能映画」という謳い文句やからもう白い耳毛動物のようにわけがわからない気分や。

自分の死を目の前に意識した時、ただただ死ぬのを待つんか。いや、今こそ倫理や法をぶち壊してでもやりたい事を本能の赴くままにやるだけや!俺のことが嫌いやけど!俺は大好きな!女を!拉致!監禁!どうする!犯すかい!殺すかい!
というなんとも暴走特急な作品なんやけど。
気になったのはとにかく台詞っぽい台詞。これは俳優さんの技量云々というよりも台本の台詞自体に難アリな感じが。というか日常会話ですら「…?」と思うレベルの会話として成立してるかどうかの危ういラインをいってた気がする。
あとはまぁその、監禁部屋を作る時のパッション溢れるイメージ映像(あんな感じでよくあんな立派な部屋作れたなぁ)、監禁された女の「本気で逃げる気はあるのかい?」感。奴隷として生きるぐらいなら死を選ぶ的な事を言うてる割にその切迫した感じや葛藤の描写が薄く、もっと他にあるやろっちゅー方法で自分を痛めつけてみたり。
そもそももっとグロくてエロくてドギツイ拷問作品かと思ったら拍子抜けする程そういう描写がなかったのには驚いたなぁ。だからこそシネコンで上映出来てるんかもしらんけど。

これは多分辻岡正人という人間に湧きあがるアイデアをぶちまけたような作品なんやしそもそも低予算やろうし、そういう荒さは「勢い」として好意的に解釈すればええかなとは思う。
ただそんな中でもこれだけは許せへんっちゅー部分がある。それが「音」。
まずリップシンクが酷い。アフレコすんのは当然やけど、もうちょっと頑張って画と合わせる努力をしようや。
あと音の位置。画面手前で喋ってる声と奥の方で喋ってる声が同じ音量で飛んで来るって想像を絶する程不快になるのに気づいてくれ。
かと思えば台詞を聞き取るのが困難な程(幾つか本当に聞き取れんかった)バランスが崩壊してるような場面もあったなぁ。

これは映画作品の「荒さ」云々以前の基本的な部分やと思う。そういう意味で史上初の1.0をつけようかとも考えたんやけど、ビジュアル的な面や辻岡正人の演技等面白いなという部分がなかったわけではないから+0.5の喀血出血失血大サービスや。
今後映画撮る時にポスプロ音響監督だけはちゃんとした人雇って作ってくれる事を期待しとこか工藤。