たぐち

キース・リチャーズ:アンダー・ザ・インフルエンスのたぐちのレビュー・感想・評価

4.3
キース・リチャーズをロックスターたらしめている「人間力」とも言うべき強烈なカリスマ性とチャーミングさが遺憾無くにじみ出ている。
元々キース・リチャーズは凶暴そうなイメージとは裏腹に、インタビュー(特に音楽に関するトピック)には気さくに答えてくれる人で、その性格が語りのドキュメンタリーという形式にマッチしたことで、彼の素のあいくるしさが如実に提示される形となった。
キース以外にも様々な音楽人のインタビューが記録されており、音楽好きには堪らない名言の数々が息を吐くように次々と繰り出される。
編集もこなれていてインサートや音の組み合わせがいちいちカッコよく、観客をうまく作品のリズムにノらせてくれる。
キースのロックスターとしてのパブリックイメージではなく、ミュージックラバーとしての誠実な面にフォーカスしたことも嬉しいし、キースが自身のジャンキーで酒飲みの暴れん坊というイメージを、半ばわざと演出しているのだと告白するような発言が記録されているのも興味深い。
キース・リチャーズという素材を作り手が余すことなく活かして作られた作品だと思う。
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