odyss

フランス組曲のodyssのレビュー・感想・評価

フランス組曲(2015年製作の映画)
3.5
【禁断の愛】

原作小説は、第二次世界大戦中に強制収容所に送られて亡くなったユダヤ人女性の書いたもので、死後しばらくしてから遺品の中から発見され、2004年に出版されてベストセラーになったという。

舞台は第二次大戦中のフランスの田舎町。
ヒロイン(ミシェル・ウィリアムズ)は、義母(夫の母、クリスティン・スコット・トーマス)と共に暮らしている。夫は徴兵されて不在であり、義母は地主だが小作農からの小作料の取り立てには容赦がなく、ヒロインは息苦しさを感じながら生活している。

フランスはドイツ軍に敗れ、田舎町にはパリからの疎開者があふれ、ドイツ軍も駐留する。ヒロインの住む地主の大きな家には、若いドイツ将校(マティアス・スーナールツ)が一人同居することに。

最初は互いに打ち解けずにいた二人だが、ピアノ音楽がきっかけで次第に親しくなっていく。また、彼はドイツ軍人ながら紳士的な人間だった。

しかし、小作農の男が別のドイツ将校といざこざを起こし、ドイツ将校を殺戮して逃亡したしたことがきっかけとなり、ドイツ軍は情け容赦ない態度で地元民に臨むように・・・

ドイツ軍に支配されたフランスの小さな町で、フランス人の若妻とやはり若いドイツ将校が恋愛感情に陥るというお話。恋愛感情は禁忌の中でこそ燃え上がるという鉄則からすると、定番的な物語とも言えそう。
ヒロインは人妻でありなおかつ自国が敵軍に蹂躙されているという意味で二重の禁忌を犯すのだし、ドイツ将校も軍人としての職務と私的な恋愛感情の二律背反にさらされる。

ただ、二人の恋愛感情は音楽にきっかけがあるわけだけど、その辺の描写がもう少し掘り下げられていると良かったと思う。神は細部に宿りたもう、と言いますからね。
odyss

odyss