しちれゆ

ケンとカズのしちれゆのレビュー・感想・評価

ケンとカズ(2015年製作の映画)
3.7
タイトルだけ知っていた小路絋史監督の『ケンとカズ』。何やらすごいらしいと聞いて長らくClip!していたのをこの度 監督の8年振りの新作が公開される機会にやっと見た。妙に惹かれるチンピラをやらせたらこの人の右に出るものはいない毎熊克哉と初々しい藤原季節。彼らを取り巻くヤクザや半グレたち。彼らのどん詰まりの人生がエンタメ要素ゼロで過酷に描かれる。地方の何もない場所で生まれ親に恵まれず賢くもなく誰にも何も求められずに生きてきて、けど生きるためには金が要る。身ごもった恋人、認知症になった虐待母。修正不能な人生の唐突な幕引きと残された者たち。暴力に明け暮れていたカズのラストシーンでの静謐とも言える眼差し。ケンへの愛と訣別は果たしてカズの新しい一歩へと繋がるのだろうか。
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