undo

イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優のundoのレビュー・感想・評価

3.8
レンズ越しの愛を探して。

イングリッド・バーグマン生誕100周年記念ドキュメンタリー作品。
愛と映画に生きた大女優、バーグマンの足跡を辿る。彼女の魅力とは。

出演作やトーク番組のゲストとして登場した際の女優としての顔はもちろん、プライベート映像や日記、手紙などから彼女の素顔にも迫る内容。
それにしても先週のビートルズ映画に続いてエド・サリヴァンの顔を2週連続でスクリーンで見ることになるとは。

クラシック名画をいろいろ観ていると、当然美しい女優さん達をたくさん見ることになるわけで、その中でも、さらに抜き出たクラスの人たちがいる。
ヴィヴィアン・リー、グレース・ケリー、デボラ・カー、オードリー・ヘップバーン、アヌーク・エーメ…。
そしてイングリッド・バーグマン。
彼女は美しさだけでなく、上記の誰よりも、どこか愛嬌の良さを感じる貴重な存在。一番健康的というか。

本作を見て、彼女の印象は、恋多きアクティブな自由人。そして、撮ることも撮られることも好きな、生まれながらの女優であること。
両親を幼い時に相次いで亡くした影響か、愛に飢えていたのかな、とも思ったり。

本作は資料的価値は高そうだが、衝撃の事実が明らかになるわけでもないので、見る人によっては退屈してしまうかも。
私は、「カサブランカ」や「秋のソナタ」、ロッセリーニの「無防備都市」(しかもあの有名なシーン)がほんの少しだけでもスクリーンで観れたことで目がウルウル。もっと見せて!

とても素晴らしかったのが、アリシア・ヴィキャンデルのナレーション。日記などは当然スウェーデン語なので、同郷で、かつ、大女優への道を歩みつつあるアリシアはまさに適任。
声も素晴らしくて、本人以上にバーグマンのイメージに近いような気さえした。

他に印象に残った点としては、イザベラ・ロッセリーニは、顔だけでなく性格も一番お母さんに似たのかな、とか。

ファンの方は言われないでも観ると思うけど、そうじゃない人でも映画史の補完としてそれなりに有用な作品。
undo

undo