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百日告別のakrutmのレビュー・感想・評価

百日告別(2015年製作の映画)
3.6
交通事故で最愛の人を突然なくした主人公の二人が、深い悲しみを乗り越えていこうとする過程での心情の変化を、百日目の法要までを区切りとして描いた、トム・リン監督のドラマ映画。監督自身が妻を亡くした経験が反映されている。

本作を撮ることによって、妻を亡くした経験を持つ監督自身の心の区切りをつけるという意味もあるのだろう。映画の中で大きな出来事は起こらず、とにかく主人公の二人の心情を愚直に描き切っている。最初は塞ぎ込んでいた二人だが、三十五日や四十九日の法要で徐々に自分の心に区切りをつけていく。婚約者を亡くした女性は、二人で行く予定だった沖縄への新婚旅行に一人で旅立つが、一人で寂しく沖縄の各地を巡っている姿はやはり痛々しい。一方、ピアノ教師であった妻を亡くした男性は、妻の生徒たちの家を一軒ずつ訪れていく。

そんな様子を見ているとこちらも自然と感情移入してしまい落涙は必至なので、覚悟して見たほうがよいだろう。個人的には、主人公の女性が婚約者の弟と一緒に号泣するシーンが一番ぐっと来た。この女性を演じたカリーナ・ラムの演技も印象的だった。
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