B姐さん

映像の魔術師 オーソン・ウェルズのB姐さんのレビュー・感想・評価

-
アルトマンのドキュメンタリーも、ペキンパーのも最終的には“愛情ある”“暖かい”映画になっていて、「なんだかんだ色々あったけど、心に残るいくつもの作品をつくりましたとさ」って感じなのだが、ウェルズのこれは、大分違う。

観終わったあとの印象は、「映像の魔術師」の姿ではなく、「呪われた作家」の暗いシルエットを垣間見た感じだ。あくまでざっくりで、ぼんやりではあるが。
でその「呪われた」原因はなにかっていうと、才能がデカすぎてハリウッドの器には入りきれなかった、ということじゃなかろうか。企画倒れになり、ファイナンスが集まらず、編集権を奪われ、そしてヨーロッパへの「亡命」となり、映画製作を余儀なくされた、と。それはすべて無理解の「否映画人」「非映画人」ともいうべき人間たちの手によっておこなわれた、という。

「わたしのほうはハリウッドが好きだけれど、プロポーズしたら3回ふられた」とか、「ハリウッドの連中はなにかにつけて、すぐ出来ませんとか可能性を否定する」みたいなことをウェルズは確か言っていて、どっかで聞いた台詞だなあ、と思ったらつい最近読んだキリキリこと紀里谷和明のインタビューで、これにはなんと言ってよいのかわからなくなってしまった。

@フィルムセンター(11/8/2015)
B姐さん

B姐さん