ヤマニシ

シティ・オブ・ゴッドのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 ピカレスクものの傑作。ガキが銃に麻薬にギャングに染まってたりと、完全に終わってるスラム街が舞台。みんな勉強するか働くかして真っ当に生きるべきと考えてはいて、時には抜け出そうともするがあらゆるしがらみが足を引っ張り続けてそれも叶わないのが悲しい。割を食うのは真面目に生きている人なのがね。主人公も正直者がバカを見るって思っちゃったし。抗争でみんなが死んでも、別のやつが台頭するだけで街の構造自体は変わらないのが面白い。強者が街を支配したから荒れているというよりは街そのものがそういうのを惹きつけるのか。暴力やら薬やらが力を持ちすぎていて、個人の意思とは関係なしにそれらを中心として街が動いてしまっている。やっぱり抜け出すしか道はなさそう。
 個人的にはガキ軍団の一人に仲間を殺すよう仕向けるシーンが好き。泣きじゃくってた子供を子供が殺すっていうのが辛いね。そしてそれを強制させても良心の呵責のなさそうな感じも悪人らしくていい。直前の手と足をどっちを撃つか選ばせてその逆を撃つのも鬼畜でいい。リトル・ゼは悪人としていいキャラしてた。二枚目は初志貫徹して不必要な殺しをしなければ最後の悲劇は避けれていたかも。しかし長引く抗争の中で誰からも恨みを買わないことも難しいだろうし、最初に銃を握ったときにリトル・ゼを仕留めておかなかったのが失敗のすべてな気もする。当初は強い復讐心から奮い立った二枚目も、結局は街の暴力の構造に飲み込まれてしまって自分の意思では生きれなかったというのは恐ろしい。
 個人の感想ですが、二枚目は役者の方より実物の方がかっこよかったと思います。
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