寿都

リップヴァンウィンクルの花嫁の寿都のレビュー・感想・評価

4.9

はじめて岩井俊二映画をみた(喰わず嫌い)
だいぶ以前におすすめされていて観たいと思っていた作品で、ここ数ヶ月で急激に、不思議で圧倒されるような縁とめぐり会い、観る時を得た。観ることができてよかった、と思える3時間の長尺をまったく感じない映画だった。

家と家、人と人との婚姻が社会制度としてあまり意味をなさず、価値が薄れている(名家や富裕層においては政略結婚の必要もあるだろうが)現代において、このような結婚観を投げかける映画の存在は必然と思える。けど意外とほかにないんじゃ?

要するに、社会が成熟すると結婚はより神聖で純粋なものとなる。ということだと思う。ウェディングドレスに身を包み結婚を誓う相手は、親友でも神さまでも、ペットでも自分自身であってもいい。(同性婚が制定されないのは日本人の石頭を晒していることに等しい)
このテーマで何万通りもの作品が発想できるとおもうが、ひじょうに現代的で巧妙な物語りに仕上げられていて、素直にとてもおもしろかった。

紀里谷和明の胡散臭いイケメン新郎が最大の笑いどころだった。オールキャスト演技派・個性派の役者陣のなかでも、個人的に一番インパクトがあったのは父親役の金田明夫さんですね。

真白さんの言う「優しさを受け取るのが辛いからお金を払う(もらう)」論は、わたしが聞いたことのある資本論?お金論?のなかで最も納得ができた。
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