一人旅

エジプト人の一人旅のレビュー・感想・評価

エジプト人(1954年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
マイケル・カーティス監督作。

紀元前14世紀のエジプトを舞台に、養父母に育てられた一人の男の波乱の生涯を描いた史劇。

フィンランドの作家:ミカ・ワルタリによる1945年発表の同名歴史小説を『カサブランカ』(42)のマイケル・カーティス監督が映像化した大作史劇。紀元前14世紀のエジプトを舞台に、生まれた直後に川に棄てられ、医師の養父母に育てられ自身も医師となった男:シヌヘを主人公にして、古代エジプトの過酷な時代に翻弄されながら生き抜いてゆく主人公の波乱の生涯を描いています。

野心家の親友ホレムヘブとの友情と訣別、主人公を秘かに想う酒場の娘メリトの愛情と悲劇、バビロニア人娼婦ネフェルのファムファタール的誘惑と破滅、ヒッタイトの台頭と、太陽神を信仰する平和主義の国王イクナートンへの裏切り及び新国王の誕生―と史実と創作をない交ぜにした壮大な歴史ドラマが語られていきます。

宮殿内部の絢爛豪華な装飾やセット、人々の衣装など細部に至るまで入念に作り込まれた美術に目を見張る作品で、ハリウッドが『十戒』(56)、『ベン・ハー』(59)、『クレオパトラ』(63)より以前に本気で作った大作史劇であります。

蛇足)
高校の世界史で習ったとおり本作でもヒッタイト帝国が世界で初めて鉄器文化を築いたものとして描かれていますが、つい最近日本の調査団が鉄のヒッタイト起源説を覆す発見をしたことで話題となりました。
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