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好きにならずにいられないのkuuのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
3.7
『好きにならずにいられない』
原題Fúsi. VIRGIN MOUNTAIN.
映倫区分R15+.
製作年2015年。上映時間94分。

43歳チョンガー(独身)で女子経験ナシ(玄人相手もナシ)のシャイな大男の恋愛模様を描いたアイスランド・デンマーク合作映画。
主人公フーシ役をアイスランドのテレビ番組などで活躍するグンナル・ヨンソンが演じる。

空港の荷物係として働くフーシは、ジオラマ作りだけが楽しみという単調な毎日を送っていた。
趣味があるしエエやん。
しかも、メタルロック好き。
作中、ラジオのリクエストコーナーに曲をお願いして
Slayerの『Bloodline 』チョイスそてもらいよる。

https://youtu.be/WfKUWvVCwvE

中々やるやん。
どうせならアイスランドメタルのskálmöld(SKALMOLD)辺りをリクエストして聴いてほしかったけど。

https://youtu.be/NspqUmnMzRA

んで、可愛こちゃんとの初デートで
ケニー・ロジャースとドリー・パートンの『Islands in the Stream』を選曲するとこはなんとも可愛い。

https://youtu.be/UaNGtgYwSsU

何にしても友達になりたいな。
(もしお時間ある時にでもどうぞ)
ってな感じの43歳独身野郎が主人公。
近所に住む少女と遊んでいるだけで誘拐犯と間違えられるようなって、今じゃ転けたガキ起こしただけで爺さんに異様な目で睨まれる世の中。
まぁ、親からしたら、冴えない様に見える日々を送る息子を見かねるわなぁ。
母ちゃんは、フーシにダンススクールのクーポンをプレゼント(何でダンスやねん😊)。
しぶしぶダンススクールへと出かけたフーシって素直で友達になりたい。
そこで1人の美しい女子と出会う❇️(自分は好みじゃないが)。
彼女へのほのかな恋心に胸をときめかせるフーシやったが、その女子は心に傷を負っていた。

原題のFúsi.→英題VIRGIN MOUNTAIN.
→邦題 好きにならずにいられない。
なぜ邦題がこないなったんやって、コラムにあった。
それに応えるヤツの返しがが巧かった。
『童貞山脈』やとどうもなぁと。

あらすじを見ると、今作品は、典型的な太っちょ野郎物語。
ただ、アルアル太っちょ野郎物語大きな違いは、ユーモアが
『太った野郎が転ぶ』だとか
『太った野郎が自閉症スペクトラム』ちゅう感じじゃなく、
フーシの世間知らずさや、社会的交流ができないことに起因していること。
劣悪な映画やったら、フーシは素朴な低俗人物に見えちまうけど、ダグール・カーリ監督はそれでも彼のキャラを真摯に受け止め(監督が、約15年前に携わったテレビ番組で気に入ったグンナル・ヨンソンを前提に脚本を執筆しただけある気の入れよう)、誤解された心温かい巨人についての美しい人物像を描き出している。
数々のコメディ要素がドラマ要素と巧みに混ざり合い、グンナル・ヨンソンは、生意気で感情的過ぎるんを頼ることなく、フーシを見事に表現してあらゆる感情を伝えてた。
それどころか、繊細で、冷たくも美しい作品に合っている。
とは云っても個人的にやけど、欠点がないわけじゃない。
いじめっ子(子じゃなくクソ青年かな)たちは、大人の野郎と云うよりもガキのように見えるし、あるシーンでは、彼が若干ナイーブに描かれていて、実際よりも頭が悪くなっているように感じる。
まぁ、これらは些細な欠点であり、今作品が持つ素晴らしい体験を損なうものではないかな。
悲しくもあり、暖かくもあり、どこかコミカルな物語。
何もかもが灰色で曇っているような人生を、ほんの少しのロマンスがいかに明るくしてくれるかを、ミニマルでとても正直に描かれてました。
アイスランド映画やアイスランド音楽には、哀愁と喜びが同居した特別なパラドックスがあるし、今作品は、日常生活の中での小さな冒険が、一人の人間の世界を変えてしまうことを描いていました。
人生を前向きに捉え、満足感と切なさという曖昧な感覚を一度に味わうこともできたかな。
まるで雨の日のように。
最も重要なことは、人生で築く関係とチャンスであることに気づかせてくれる作品でした。
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