クシーくん

ハイネケン ~世界を魅了するビールの魔法~のクシーくんのレビュー・感想・評価

3.1
別にそんなにハイネケン好きじゃないんだよな。喉越し爽やか系だし。なんで観たんだろ。
ブリュードッグがTVシリーズでドキュメンタリーやってるのはなんとなく知ってたけど、他のビール会社もこういう映像作品を世に放っているのだろうか。バドワイザーとかギネスとかカールスバーグ辺りもひょっとしたら。

冒頭と中盤と終盤にそれぞれ出てきたハイネケンマニア達は良かった。世間にはどんな対象物でもマニアが必ず一人くらいはいるんだろうなと漠然と感じていたが、三人も出てきたから驚きだ。しかも中盤に出てきた方はハイネケングッズの点数の多さでギネス記録を取っている。
ハイネケンの空箱やラベルやビンテージボトルや大昔の工場の登記契約書…傍から見ればおよそ何の役にも立たないような代物を、マニアが誇らしげに大事なコレクションとして披露するのは微笑ましい。終盤のハイネケンマニアはハイネケンの缶や瓶でDIYして船や飛行機の模型を作ってしまうという、これはハイネケンマニアと言っていいのか?みたいな人まで出てくる。
最後にこのハイネケンマニアの三人がオランダのハイネケン工場に招待され、一同に介するのだが、同好の士で集まり、初代ハイネケン社長の椅子に座らせて貰い感極っているシーンは感動的ですらある。正直それ以外の部分はおまけみたいなものだ。

創業者から辿るハイネケン社の歴史と、世界中のビール会社を買収して巨大企業化していった経緯、ハイネケンビールの品質基準の厳格性、若者ウケする為のPR戦略など、本作の大半はおよそどうでも良い会社のプロモーションビデオそのものだ。
特に終盤もっともらしく、長ったらしく、会社がやっている慈善事業を延々説明し始めたのにはうんざりした。
有名なフレディ・ハイネケン誘拐事件も話題にしているが武勇伝かのように語るのには閉口。

一つだけ、面白かった点を挙げるなら、世界中のハイネケン工場では各国それぞれ工夫した品質検査法を行っているのだが、ポーランドのジヴィエツでは二枚貝を検査用の水に入れることで、水質検査をしているという事だろうか。水質が汚染されている場合、貝は口を開かないという性質を活かして、二枚貝が口を開くようになるまで汚染物質を取り除くというユニークな方法は誰が思いついたものか、アイディアの勝利を感じる。

まあとりあえずハイネケンもたまには飲んでみようかな、という気にはなれた。
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