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パターソンのEDDIEのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.6
何気ない当たり前のような毎日がどんなに大切か。詩を書き溜めることに生き甲斐を持つバス運転手の1週間を追いかけながら、ジム・ジャームッシュ監督の放つそれとないメッセージが心にグッとくる傑作。

1年ぶり2度目の鑑賞。
大好きな作品のひとつです。
主演はアダム・ドライバー。彼の凄まじいほどの演技力の高さを見せつけられたのは『マリッジストーリー』ですが、彼のその演技力の高さを細かい繊細な表現を感じさせられ意識し始めたのが本作でした。

ありきたりな当たり前の毎日ではあるけども、確かに変化は起こっている。
この作品はまさにそんな細かな変化が主人公パターソンの日常に大きな影響を及ぼしていきます。
映画的にみると、劇的な出来事が起きるわけではありませんが、これほどまでに一つ一つのシーンに意味が溢れ、見逃せない作品もなかなかありません。
劇場で見逃したことを後悔してしまったほどです。

パターソンと一緒に暮らす妻のローラ、愛犬のマービン。彼女らとの会話や触れ合いがとても愛に溢れていて、ただそこにいつも通りの日常に留まりたいパターソンと変化を求める妻の姿が映り、この作品の少しばかりの変化を楽しむことができます。

終盤にパターソンのもとに現れる日本人の詩人。永瀬正敏が演じますが、パターソンの身に起きた変化を追いかけてきて、この詩人にパターソンはあるものを渡されます。
何気ないアイテムですが、パターソンにとってはかけがえのないもの。私はこのシーンでつい涙が浮かびました。

日常というのは人との関わり合いあってのこと。変化があってもそこに適応できるのは人の助けがあるからこそと考えられるのかもしれません。
そしてありふれた当たり前の日常も、彼パターソンのように視点を変えて見ることで美しい景色や新しい発見にも出会えるかもしれません。

・余談
ジム・ジャームッシュ監督作品の鑑賞デビュー作が本作です。『パーマネント・バケーション』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ゴースト・ドッグ』『コーヒー&シガレッツ』『オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ』などなど、気になる作品はあるので少しずつ観ていこうと思います。
さらには4月には『デッド・ドント・ダイ』が公開予定。新型コロナの影響で観に行けるかどうかわかりませんが、まさかのジム・ジャームッシュ監督がゾンビものを撮ったというところに興味が湧かないわけがありません。笑

※2020年自宅鑑賞106本目
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