銀幕短評(#52)
「ラスト・タンゴ」
2016年、ドイツ、アルゼンチン。1時間25分、公開中。
総合評価 73点。
アルゼンチンタンゴ史上で最高のダンスペア(フアン・カルロス・コペスとマリア・ニエベス)を題材にしたドキュメンタリー映画。時代に応じて本人たち(現在83才と80才)と若い役者たちとが演じ分ける。舞台はもちろん ブエノスアイレス、言葉はスペイン語。
脚本と演出がすばらしい。様式的、同調的、情熱的なタンゴの魅力を徹底して提示する。うっとりするようなカメラで。バンドネオンの鳴きが響きわたる。官能的なステップが会話をする。
現在と過去を行ったり来たりするストーリーの運びかたは「八日目の蝉」(#51)の手法に近く、効果的だ。ラストシーンの鮮やかなワンショットがズシンとくるとともに爽快。
数あるタンゴ曲のなかで わたしのとりわけ好きなのは、ピアソラの「リベルタンゴ」と「タンゲリア」ですが、どちらも作中で踊られていました、うれしい。