映画大好きザウルスくん

アート・オブ・ウォーの映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

アート・オブ・ウォー(2000年製作の映画)
3.6
大使暗殺の濡れ衣を着せられた国連工作員のニール(スナイプス)が事件の真相を暴いていくサスペンスアクション映画。『ブレイド』(98)公開直後で絶好調なスナイプスが、またしてもポテンシャルを遺憾無く発揮してくれた中々の傑作でした🥳✨

本作のイメージを一言で説明するなら「90年代の出来のいい方のヴァンダム映画」のような雰囲気です!つまりは「アメリカ版香港映画」感をヒシヒシと感じる訳ですね!もちろんその理由はメインの敵が中国人(とは言っても演じているのは『リトルトウキョー殺人課』などでお馴染み?のケイリー=ヒロユキ・タガワですが)だったこと、冒頭の舞台が香港だったこと、タイトルが「孫子の兵法」の英訳だったことなどが大きいのですが、それ以外にもカンフー使いとの格闘戦があったり、スナイプスも含めて黒いレザーを羽織ってる人物が多かったり、かなり部分的ではあるもののジョン・ウー的なスロー演出が混じったりしていたことも大きかったです。また、それと同時に前年に公開された『マトリックス』(99)の影響が色濃い部分(ラストの銃弾の弾道がスローで見えるのが最も顕著、中盤で大量の銃を見つけるのもその影響かも?)もあり、もしかしたらジョン・ウーの影響というよりも、ジョン・ウーの影響を受けた『マトリックス』の影響を受けた本作という又聞き構造なのかもしれません。そして、もしかしたらその時代遅れ感+雑なパクリ感があったせいで当時は興行成績が悪かったのかなと邪推してしまったりもします。個人的にはかなり好きな方ですけどね!

空気感は「アメリカ版香港映画」だった一方で、サスペンス要素に関しては1作目の『ミッション:インポッシブル』(96)や後に公開された『ボーン・アイデンティティー』(02)のような割りと正統派な敏腕スパイの逆襲ものだったように感じます。個人的には終盤まで真相が分からなかったのでサスペンス部分も十分に楽しめました(まあよくよく考えてみると未来のロボット兵器と2時間格闘できたあの男がすぐ倒れる訳ないか…笑)。そしてアクション面では『ブレイド』でスナイプスが見せたカンフーアクションをそのまま現代映画にチューニングを合わせて輸入したような格闘戦が多く、それに加えて無駄の少ないスタイリッシュなガンアクションや走ったり跳んだり突っ込んだりする体当たりアクションも多く、特別新しい要素はないながらも昔から見慣れているオーソドックスなアクション映画を観た時のような安定感がありました👍

鑑賞後調べてみるとこの作品はどうやら当初ジェット・リー主演で計画されていたらしく「なるほどな!」と納得できた部分もありました。そして本作は前述したようにヴァンダム主演でもおかしくなかったと思うし(まあヴァンダムだったら1000%中盤にベッドシーン入ってただろうけど…笑)、もう少しアクションを減らしてサスペンスを増やしたらデンゼル・ワシントン主演でも不自然ではなかったとも思います。しかし、やはりサスペンス面+アクション面+演技面+『ブレイド』直後という勢いの全てを考慮すると、スナイプス主演というのが1番しっくり来るキャスティングだったと言えるでしょう👏✨

『ブレイド』以前には見れなかったスナイプスの全身をフル活用したアクションも見れたし、スナイプスが雨に混じって涙を流す演出などは細かいところですがよくできていたと思うし、ホントはもっとスナイプスの代表作として名が挙がっても良さそうな作品です!未見の方はぜひ鑑賞してみてください🙌