kuu

Within the Woods(原題)のkuuのレビュー・感想・評価

Within the Woods(原題)(1978年製作の映画)
3.5
『Within the Woods』
製作年1978年。上映時間32分。
サム・ライミが脚本・監督・製作を手がけた1978年のホラー短編映画。
ライミは友人のブルース・キャンベルとエレン・サンドワイスを2人の主人公に起用し、1,600ドルで映画を製作したそうな。
人里離れた森の中の山小屋でのロケで、低予算のため製作は難航した。
映画の中で表現される特殊効果のいくつかは、低予算で行われたものであり、そのいくつかは撮影現場で即興的に作られたものだそうだ。
映画の中心は、悪魔憑きと森に由来する不思議な力である。

オタクな元ボーイスカウトのブルースは、ガールフレンドのエレンを連れて、ミシガン州北部の密林にひっそりと佇む小さな農家でロマンチックなピクニックを楽しむ。
友人のスコッティとシェリーも同行し、ブルースはキャンプファイヤー用の穴を掘るが、知らず知らずのうちにネイティブアメリカンの神聖な埋葬地を冒涜してしまう。
眠っていた悪魔の力が哀れなブルースの魂にとりつき、復讐と血を渇望する。 。。

最近、『死霊のはらわた ライジング』がネトフリにオススメによくででてくる(既観)。
これは、サム・ライミ監督の出世作となった傑作ホラー『死霊のはらわた』シリーズの1981年に公開された『死霊のはらわた』原題: The Evil Deadから始まり、87年公開の『死霊のはらわたII』原題:Evil Dead II 、93年の『キャプテン・スーパーマーケット死霊のはらわたIII』原題:Army of Darkness)の正統続編で、結構ビビらさせてくれたのを覚えてます。
そんな一連のシリーズの元ネタとなった作品が今作品。
この『死霊のはらわた』の派生はホンマさまざまなコンテンツ(ゲームまである)やジャンルで生まれてる。
2015年には、アッシュが主役の正当続編『死霊のはらわた リターンズ』なんか、これはもはやコメディ路線まっしぐらで、『新・死霊のはらわた』や『死霊のはらわた 最・終・章』はシリーズと無関係な作品に近いな感じのモノまで沢山作られてきた。
そんなコマ撮りクレイアニメも用いながら表現されるそうした過剰なゴア描写や死霊目線を演出した大胆なカメラワークを特徴とした、低予算なインディー映画ながらもアングラな魅力が詰まった作品群の元ネタが今作品。
今作品は明らかな低予算で、プロ意識のなさ笑、そして、知性の欠如にもかかわらず、このジャンルの史上最も重要なホラー短編映画かもしれない。
と云うのも、もし、この短編映画がなかったら、サム・ライミ、ロジャー・タパート、ブルース・キャンベルらの学生チームは、ホラー映画史上最強の一つの映画『死霊のはらわた』を作ることはなかったかもしれないからです。
今作品は、彼らが初の長編映画の製作資金を得るために作った作品であることは、結構、あちこちで囁かれている。
今作品を観た人なら、多分『死霊のはらわた』も観たことがあるはず。
もし観たことがあるのなら、使われている手法やシークエンスの類似性から逃れることはできない。
シェリル・ウィリアムズ役のエレン・サンドワイスのチェイス・シークエンスの結末、ドアの前のゾンビ、主人公の最後のモノローグなどなど。
今作品で起こったことの多くがファイナル・カットに入り、『死霊のはらわた』にそのまま持ち込まれた。
サム・ライミと共同監督がなぜこの短編のために出資を受けることになったのか理解できる。
先にも記したように、全体としては巧みだとは云えないけど、監督の手腕をまざまざと見せつけられる。
ライミは彼の特徴とも云えるカメラアングルとライミ・カムを見事に使いこなし、これはポストプロも同様で、フィルムはうまく編集され、音楽もつけられている。
この種の映画としては予想通り、演技と脚本ははっきり云ってクソやけど、他の部分がこれほど独創的でよくできていれば、そんなことはほとんど気にならない。
インディアン(ネイティブアメリカン)の埋葬地はさておき、それこそがこの映画の醍醐味かな。 もしあなたが『死霊のはらわた』シリーズのファンじゃないなら『Within the Woods』を気に入る人は少ないかな。
kuu

kuu