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桜の代紋のmitakosamaのレビュー・感想・評価

桜の代紋(1973年製作の映画)
3.4
スカパーにて。勝プロ製作なのでバイオレンス描写がエグいエグい。
しかも若山富三郎が主演も兼ねてプロデュースも行うという力の入れよう。

若山演じるアウトローの刑事が、米軍基地から拳銃が流出したヤクザの組を潰すため、法外な手段で活躍する。

冒頭、拳銃流出事件が起き警官も射殺される。このヤクザの三下に石橋蓮司。こういう役が本当に似合うなぁ〜。
若山演じる刑事は、兄貴と慕う刑事(小林昭二)、若手の後輩(関口宏)らと、ヤクザ壊滅に躍起になる。強力を頼んでいる懇意にしてる別のヤクザも殺されたり捕まったりして、敵も手強い。

途中、留置所に入っているヤクザの、婚約中の娘を養子として引き取り、無事に嫁に出したりする人情っぷり。

そして、遂に拳銃紛失の容疑者を逮捕し取り調べる。
ココからが怒濤の展開。3日間寝かさずに取り調べ。さらに運動と称して柔道場に連れて行き痛めつける。後の“県警対組織暴力”での川谷拓三への取り調べシーンに通じる様な痛快さ。石橋蓮司オイシイなぁ。

自白するも拳銃は既に無く、容疑者は殺され、警察内部の裏切りが発覚。
話が二転三転して面白い。
自宅謹慎になり、家で廃品回収者の車の音を聞くシーンなど、ダレ場が実に効果的。

更なる追求に、ヤクザ側も非情な手段に出る。刑事の妻を人質に取りリンチ。これまた血生臭い。実に痛々しい。組長役の大滝秀治も実に憎たらしいぞ。

妻の死により自暴自棄になり、拳銃片手に私刑。なんというか、北野映画のようなバイオレンスみがあるね。
同年公開の“仁義無き戦い”に代表される様に、文字通りヤクザ映画から仁義が無くなり、暴力描写が過激化する時代。暴力団の社会問題化が顕著になった時代を象徴するね。
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