もちお

リトル・マーメイドのもちおのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 映画館で観ました。
 2Dの吹替版です。
 アニメ映画版『リトル・マーメイド』は何度か観ています。
 今回の鑑賞の数日前にも観ました。
 
 本作ですが、気になるところがいろいろありました。
 ただ、トータルすると好きな作品です😊
 特にアリエルが素敵でした。
 そして、最後のある展開で涙腺を刺激されました。

 以下では、アニメ映画版『リトル・マーメイド』の内容にも触れています。
 ご注意ください🙇

①アニメ映画版『リトル・マーメイド』について
 好きな作品です。
 一方、「子供の頃に何度も繰り返し鑑賞しました。」というわけではなく、強い思い入れはありません。
 そんな距離感です。

②気になったところ
 本作は好きですが、まずは気になったところから書いていきます。

・アースラによるエリックへの洗脳が弱めな件
 アニメ版ではエリックが完全にコントロールされているようでした。
 一方、実写版ではエリックの意思が多少残っているように見えました。
 そうなると、人間に化けたアースラと早々に結婚しようとするエリックにモヤモヤしました。
 前日までアリエルと仲良くしていたのに、不誠実だなと。
 命の恩人と同じ声がするとは言え、エリックの印象が悪くなりました。

・命の恩人を周囲に探させるエリック
 王国の人々に迷惑をかけているように感じました。
 申し訳なさそうにしているのであれば良いのですが、偉そうに捜索状況を確認するあたりが引っかかりました。
 
・エリックの母親
 航海には反対する慎重派かと思えば、いきなり現れた相手との結婚は即座に認めるあたり、同じ人間の判断とは思えなかったです。
 アースラが化けていると知らなかったとは言え、どうなのかなと。
 また、アースラがいなくなった後も人魚であるアリエルとの恋に反対していたのに、ラストでは2人を応援しているのも気になりました。
 シーンが何度か変わっていたので、時間がある程度経過したのかもしれませんが……
 全体的に一貫性のないキャラクターに感じました。
 エリック側の描写を充実させるために追加されたのかなと思いますが、個人的にはモヤモヤしました。

・声を失ったアリエルが心の中で歌うシーン
 声が戻った時の感動が弱まってしまいました。
 声を取り戻すまでは、アリエルの歌唱シーンを控えてほしかったです。
 アリエル役のハリー・ベイリーさんは表情が豊かなので、歌がなくても気持ちが十分に伝わってきたと思います。

・セバスチャンが苦手
 アニメ版では良かったのですが、実写版は少し苦手でした。
 独り言が妙に多いと感じました。
 文句ばかり言っていて、印象が良くなかったです。
 また、トリトン王の近くで愚痴をこぼすので、「聞こえちゃうよ!」と気になりました。
 ところで、早い段階で木村昴さんが担当されていると気づきました。
 テレビ出演の多い方なので、セバスチャンが話す度に木村さんのお顔が浮かんでしまいました。
 あと、木村さんは悪くないのですが、アリエル役の豊原江理佳さんの歌声が素晴らしすぎて、木村さんがメインで歌う『アンダー・ザ・シー』が物足りなかったです。
 豊原さんの『パート・オブ・ユア・ワールド』の次が『アンダー・ザ・シー』という曲順の影響も大きかったです。

・王国を探索するシーン
 全体的に楽しかったですが、いくつか気になるところがありました。
 まず、馬車のシーンで人々に迷惑をかけていて、不安になりました。
 アニメ版では派手にジャンプして終わりだったので、「アリエルは活発だなあ。」で済んだのですが……
 また、マーケットでの描写も気になりました。
 アリエルが料理や花を受け取っていましたが、お代を払っていませんでした。
 しかも、お店からお金を要求されることもなかったです。
 一瞬「『アラジン』でのジャスミンのように、店主に脅かされるのか……」とビクビクしましたが、そんなことはなかったです😅
 帽子のお代はエリックが払っていたので、後で彼が払ったのかなとも思っています。

・「外見で惚れたわけではない」ことの強調
 いろいろと配慮しているように感じました。
 例えば、トリトン王に像が破壊された後、印象的に映るパーツが異なりました。
 アニメ版では顔でしたが、本作では手でした。
 アニメ版でアリエルがエリックの容姿を誉めてばかりなのは気にならなくもなかったので、いろいろと変更されたのは分かります。
 ただ、少し引っかかるところもありました。
 トリトン王に像を破壊される直前、アリエルがエリックについて話すシーンです。
 彼の中身を誉めていました。
 この件が不自然に感じました。
 あの時点でアリエルはエリックをわずかな時間だけ眺めて、救助しただけだからです。
 中身に惚れ込むには無理のある短さではないかなと。
 一方、追加されて良かったところもあります。
 アリエルが人間の物を収集しているように、エリックが海の物をコレクションしているところが好きです。
 対になっていて、綺麗でした。
 仲良くなるのが自然に感じました。

・トリトン王が一度消滅
 トリトン王がアースラの被害者たちのような見た目にならず、消滅しました。
 契約書ではなく、鱗で契約する展開になったからこその改変かなと。
 アニメ版にあった契約書がなくなった理由は、「筆談でエリックとコミュニケーションを取れば?」というツッコミを回避するためかなと思っています。
 契約書ではなく鱗になったのは良いのですが、アースラが倒されてもトリトン王しか救われないのはモヤモヤしました。
 アニメ版では他の被害者たちも元の姿に戻るシーンがありましたが、本作ではなかったです。
 今回出てきた1つ目の方々は歴代の被害者たちではないんですかね。
 アースラの歌唱シーンで出てきた頭蓋骨たちが被害者なのでしょうか。
 また、アリエルが復活したトリトン王と会話していましたが、溺れそうなエリックが気になって集中できなかったです。
 あと、「トライデントが地面に触れてトリトン復活」という展開は、都合が良すぎると思いました。
 少し冷めました。

・トリトン王が反省するシーン
 アニメ版にもありましたが、アリエルに厳しくしたトリトン王が「言い過ぎたかな……」、「やり過ぎたかな……」と悩むシーンがありました。
 ただ、像を破壊した後の反省シーンですが、変わっていました。
 アニメ版では破壊直後に動揺する表情が描かれましたが、本作ではなかったです。
 代わりに、アリエル探しを命じた後、反省する台詞がありました。
 アニメ版の方が好きです。
 表情で語るところが良かったです。

・結婚を伝えるスカットルの歌
 歌わずに早く伝えてほしかったです。
 焦れったかったです。

・エリックが王家の血を継いでいないという設定
 この設定が必要なのか、よく分からなかったです。
 「血筋じゃない」ということでしょうか。
 また、王家の血を継いでいないことに対するエリックの葛藤は、ほとんど触れられていなかった印象です。
 エリックの描写を充実させるためとは思いますが、そこまで要素を詰め込まなくてもと感じました。

・シェフは出てこない
 あの狂気のシェフが登場しませんでした。
 セバスチャンが台詞で触れただけでした。
 アニメ版で結婚式で暴れたのは嫌でしたが、厨房でのシーンは実写でも観てみたかったです。
 実写ということで、より怖いシーンになっていたらと期待していました。
 ただ、あのシーンを実写化してもショッキングなだけで、映画全体で浮いてしまったかもしれないとも思っています。
 そのため、省略は仕方ないと受け入れている私もいます。

・エリックの誕生日パーティーでの曲
 アニメ版と変わっていました。
 本作ではアニメ版のOPで流れる歌でした。
 アニメ版の曲が好きなので、なかなかショックでした。

・エリックのお城
 アニメ版のデザインが好きでした。
 丸みがあって可愛かったからです。
 一方、本作のお城は、そのような外観ではありませんでした。
 ゴツゴツした様子で、ガッカリしました。

・トリトン王の家族関係
 「だから嫌」というわけではありませんが、いろいろと考えてしまいました。
 まず、トリトン王とアースラが兄妹とのことでしたが、見た目が全く異なりました。
 トリトン王は私たちが一般的に想像する人魚の姿ですが、アースラは下半身がタコです。
 「父親か母親が異なるのかな?」、「どちらかが養子なのかな?」、「人魚は遺伝子が特殊なのかな?」といったことを鑑賞中に考えてしまいました。
 同じようなことがアリエルの姉たちについても気になってしまいました。
 姉たちの外見がそれぞれ似ていなかったからです。
 「それぞれ母親が異なるのかな?」、「養子なのかな?」、「人魚は遺伝子が特殊なのかな?」といったことが頭の中でグルグルしていました。

・いろいろ書きましたが……
 私は本作が好きです。
 以下では、良かったところを挙げていきます。

③良かったところ
・アリエルが素敵
 正直、観る前はアニメ版との容姿の違いから、身構えていました。
 ディズニーのアニメ版と実写版の違いで、モヤモヤすることが何度かありました。
 実写版『ピノキオ』のブルー・フェアリーや、『ピーター・パン&ウェンディ』のティンカー・ベルについては、鑑賞後も違和感を覚えたままでした。
 が、本作のアリエルは素敵でした✨
 表情が豊かでした。
 特に目が輝いていて、好奇心旺盛であることが伝わってきました。
 演じられたハリー・ベイリーさんが素晴らしかったです。
 沈没船でサメと遭遇した際、鏡を活用するところも良かったです。
 アリエルの賢さを感じました。
 アースラとの取引を一度断るシーンも、良かったです。
 軽率との批判を回避するためと思いますが、より葛藤が伝わってきました。
 また、吹替版の豊原江理佳さんの歌声に感動しました。
 『パート・オブ・ユア・ワールド』で圧倒されました。
 美しい歌声に泣きそうになりました。

・生々しい海洋生物たち
 たまたまテレビで実写版『アンダー・ザ・シー』を観まして。
 たしか金曜ロードショーでの特別映像だったと思います。
 その時は海の生き物たちの質感に引いてしまいました。
 不気味だなと。
 ただ、映画館で観たところ、楽しめました。
 慣れたのかもしれませんが、癖になりました。
 また、ウツボが怖かったです。
 出てくる度に緊張しました。
 アースラのアジトにいる1つ目の方々も印象に残りました。

・フランダー
 登場当初は薄い姿に困惑しました。
 アニメ版のプクプクした姿が好きだったからです。
 が、しゃべり始めると、違和感がなくなりました。
 声の可愛さで、愛くるしく感じるようになりました。
 吹替を担当された野地さんが良かったです。

・アースラ
 メリッサ・マッカーシーさんが好きなので、楽しかったです。
 ただ、巨大化した姿が暗くて少し観づらかったのは、残念でした。

・エリックに仕えるグリムズビー
 当初は頭の固い人かと思いましたが、なかなか柔軟な方でした。
 アリエルとの仲をアシストする姿が微笑ましかったです。

・吹替版だからこそ楽しめた点
 字幕版と迷いましたが、上映時間との関係で吹替版にしました。
 豊原さんのアリエルや野地さんのフランダーが素晴らしかったことに加えて、大塚明夫さんのトリトン王も良かったです。
 好きな声優さんなので、嬉しかったです。
 ほんのりニコラス・ケイジさんのお顔が浮かびましたが、その点も含めて楽しかったです。

・アリエルがアースラを倒す展開
 守られるだけではなく、戦うアリエルも描かれていて、良かったです。
 一方、船乗りとしての技術を活かして、沈没船で突撃するエリック(アニメ版の展開)も好きです。
 個人的には、実写版のエリックにモヤモヤするところがあったので、最後は沈没船でビシッと決めてほしかったとも思っています。
 が、槍(?)でアースラにエリックが一撃を加えるシーンは本作にもあったので、バランスは取れていたのかなとも感じています。
 アリエルとエリックの2人で勝利した感が好きです。

・トリトン王が2人のボートを送り出す展開
 刺さりました😢
 正直、アリエルが人間になった上で、「2つの世界の架け橋」とされるのはどうなのかなと思います。
 が、ラストでトリトン王がボートを押すところで、涙腺を刺激されました。
 トリトン王が旅立つ2人の背中を押したことが分かりやすく表現されていました。
 シンプルだからこそ、グッときました。

④まとめ
 気になったところが多めですが、トータルすると好きな作品です😊
 字幕版も観てみたいです。
 また、今回は上映環境も印象に残りました。
 主人公がピンチになると、「アリエル……」と心配そうに言うお子さんがいました。
 映画に没入していることが伝わってきて、微笑ましかったです。
 いい映画体験でした🙇
もちお

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