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ザ・プレデターのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ザ・プレデター(2018年製作の映画)
1.7
むむむ、Predator is a disappointmentだと?! 批評家め、今ごろこんなモンスター映画は古いと申すか!と喧嘩腰にシェーン・ブラックが撮るし、何だかこれまで観たことないプレデターに巡り合えそうだ、誰が言おうと面白いに決まっていると期待していたが残念ながら面白くなかった。
「エイリアン」シリーズは人間の介入と設定に大風呂敷を広げてしまったとジェームズ・キャメロンは言ってたが、フォックス二大モンスターの大風呂敷は「ザ・プレデター」にまで広がってしまった。しかも哲学的要素を含めたエイリアンに比べて、今回のプレデターはのっけから滅茶苦茶してます。まだ「プレデターズ」の方が詰めは甘いが、捕食者プレデターたちをよく描けていたと思う。ほらどうしようもない抱き合わせVSシリーズを2作やったけど、プレデターシリーズに共通していたジワジワと見えない敵の存在の恐怖感が良かったけど、本作に至ってはひたすらスーツ着ている方が開始数秒で現れてプレデターというよりスーツアクターの登場だった。前半はこの先どうなるのかワクワクしたし、傭兵たちのナイスなキャラクターやユーモアも面白かったのに、めっちゃ強い科学者や、クラシックプレデターが最高に弱かったりとインフレが凄い。かつては出演者として活躍していたシェーン・ブラックはプレデターの世界観をさらにスケール小さくしたり、よく分からない設定を持ち込んでしまった感じは否めない。残酷描写も容赦ないぜと雑誌のインタビューで自信ありげだったが、カタルシスも感じずひたすら人体破壊なのでテレビゲームみたいだ。このあたり一作目で腕を撃たれ、落ちた腕がマシンガンの引き金を引き続けている描写とか改めて細かいと思った。最もグロありきのプレデターというより設定自体が皮剥くんだから避けては通れない。
今回遺伝子交配で誕生したアルティメットプレデターくんも終始何がしたかったのか分からないし、彼を地球に召喚しちゃうあたりジェイコブくんがある意味人類最大の敵ではないかと。ガバガバなキャラクターで無理やりアイデア出落ちのアルティメットプレデターはなんかもう…いらん笑。
トーン的にはホラー要素皆無で、軍人を格好良く描いてモンスターと闘うコミックみたいな「プレデター」で、今それどころじゃねえだろと突っ込みたくなる人間たちの内輪揉めときたらアホそのものである。
じゃあ素直にB級大作として楽しめるかといえばそうでもなく、むしろそのトーンならもっと面白いのはいっぱいある。
まさにバランス崩壊映画とも言うべきか。
総評として「ザ・プレデター」が一時期製作困難になっていた理由がわかる作品で、とっ散らかった設定とこれじゃない感強い新しい試みがさらにプレデターをぶっ壊してくれた。特にエンディングなんて観ていられなかった。この新しい試みを良いと思えるかが鍵になってくるとは思うが、何もプレデターでやらなくていいだろってレベルなんで。とりあえず暫く新作は出なさそうだ。かなり戦犯と見た。最後に僕は熱烈なプレデターファンではないが、古参ファンは本作に怒ってしまうのではないか心配だ。本作でようやくドレッドヘアーの意味が分かったのが救いだが。
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