アズマロルヴァケル

ファウンドのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

ファウンド(2012年製作の映画)
4.5
「未体験ゾーンの映画たち2017」出品作品。

ここまで凄い映画があるなんて、想定外だった。

最初のところ、手作り感出しすぎな黒人の生首のせいでこれは大丈夫なのか?と疑ってならなかったのだが、徐々に主人公らが見た半魚人のホラー映画や20年前に死んだ赤ちゃんとみられるドラマ「仁」の赤子を彷彿とさせる赤ちゃんのホルマリン漬けや映画「ヘッドレス」の殺人シーンや殺人鬼の異常過ぎる習性にはあまりにも目を背けたくなりました。

そして、なんと言っても主人公の兄の狂気がかなり伝わってきて、もちろん
兄の優しい部分が伝わるシーンもあるのだが、殆どは狂気がプンプンと伝わるシーンが多かった。

まあ、「イット・フォローズ」超えと堂々と宣伝してはいるが、個人的には「イット・フォローズ」を超えたと断言したい。「イット・フォローズ」はアイデアだけで勝負し、ただ抽象的でありながらも見る人を忠実に心理的な恐怖を与えている。かつ「それ」は何故こういうものに化けて攻撃しているのかかなり難解でそれを想像するのは結構楽しかった。対し、この映画ははっきり言って、王道のような殺人鬼ものに青春ものを足した斬新さは「イット・フォローズ」のようにアイデアでいい勝負をしているのだが、全編通すと「イット・フォローズ」と違い、グロをガツンと見せてストレートに本当の恐怖を提示させてくれる作品なのだ。

ラストシーンに関しては実は「グッドナイト・マミー」を見たせいか兄が親を殺すシーンを頭で既に描いてしまい、兄が言う「オイル漏れ」という言葉も父の失禁だなと思うと納得が着く。結果、殺人シーンは頭で描いていたものよりもかなり違っていたのかもしれないが、兄が主人公を泣かせたときに動揺し、叫ぶシーンとラストの主人公が親の死体と共に茫然自失でベッドにいるシーンはまさに完璧で美しい。映画史に残る最高の名シーンに違いないと私はそう感じました。

ちなみに、ボーリングの球用のカバンに生首が入っている様は何処と無く本家世にも奇妙な物語の「僕は旅をする」のラストシーンを彷彿とさせるシーンでした。

http://www.tudou.com/programs/view/2gKqv58dV_s/

ほんでもって、世にも奇妙な物語でリメイクしたらもっと素晴らしいだろうなと考えてしまうなあ。出来れば監督は「墓友」の松木創監督か園子温監督で撮ってほしいね。