想像以上にすごい良いな…続編の方が面白いと思える映画ってなかなかないけどこれはすごい、ただオリジンを懐かしむための続編に収まっていない。
前作が90年台のおしゃれムービーとして映画業界、というかもはやカルチャー業界に君臨していることを肯定的に捉えて、そのセンスを追従する形ではなくしっかりとテン年代の新たなオシャレ映画を作ろうと試行錯誤している様がとても好感が持てた。
その結果捻り出してきた表現たち、ハッキリとしたプラスチックのような映像、ローテンポで静かな話運び、メインドラッグを前作のヘロインからコカインへ変えて現代のスピード感を描いてみたり、トリップや空想のシーンがまた前作の不気味さとは違った無機質な味があってすごく良かった。(特にヘロインに戻った時の逆さにプロジェクションされた動物たちが素晴らしい)ちょっとした絵面や音楽がいちいち新たなセンスを創出することを狙っていて偉い。かたやシーンそれぞれは映画そのものへのリスペクトに満ちていて、終盤のベグビーとの追従劇は初代ブレードランナーのロイとのそれのようだった。
ドラマにおいても各キャラクターの持つ中年の哀愁がとても魅力的で、徐々に目覚めていくスパッドの部屋の移り変わりがとてもよかった。ベグビーの抱く愛憎にはやられたな。ただの暴力キャラだった彼にすらドラマを産んだのは素晴らしい。ラストシーンのレントンの部屋でトレインスポッティングの全てを回収しきっていて感服だよ。このシリーズにおいて部屋ってすごい重要なモチーフなんだろうと思う。それは何故なんだろう。自分と全然違う人生なのに自分の人生のことを振り返って愛でたくなる映画だった。
(レントンはオビワンを演じたことによってちょっとフォース使えそうになってたし、ベグビーはシンビオート寄生したらめちゃくちゃ強いだろうな…)