ティンク

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのティンクのレビュー・感想・評価

3.7
「ちゃんと『インディ映画』になっててよかったよ」


1作目の「レイダース」といえば、スターウォーズ1作目の公開前にヒットに確信を持てず確かハワイに逃げたジョージ・ルーカス監督が現地でスピルバーグ監督と、007みたいな映画を撮りたいね~と語り合ったアイディア!
(2作目でインディが白いタキシードで出てくるのはまさに、ボンドへのオマージュ。3作目ではショーン・コネリーでちゃうし)

そんなルーツを持つ作品ですが、満を持しての前作4作目では、スピルバーグが反対した(もう異星人映画は散々やったからいいよ)にも関わらずジョージルーカスのごり押しで、もろ「Xファイル」な展開になってしまって酷評の嵐でした。普通に面白いんですけどね。

まぁ、なんだかんだ言ってルーカスとスピルバーグが作り上げてきた作品群なわけです。で、主演はすべてハリソン・フォード。音楽はすべてジョン・ウィリアムス。
それが『インディ映画』。

さて、本作ですが、皆あまり言及しないんですが、本作だけディズニー映画なんですよ。
なので、今までとは全然違うインディに、下手したらポリコレ満載の映画になる可能性もあったわけです。

勝手な想像ですが、今回製作総指揮にまわったスピルバーグが「今作で自分がするべき仕事はこれだ」と考えたのは、あのキャスリーン・ケネディの影響を極力避けるようにすることだったんじゃあないかな。
キャスリーン・ケネディは、インディ1作目から関わっていて、今やルーカスフィルム社長で一番偉い人なのに、スピルバーグったら、向こうでのプレミア会場で、壇上にいる彼女を全く紹介しないんですから。話題となっていますね。その様子がこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=qE6MZMYDu-s
キャスリーン・ケネディを最初に採用したのがスピルバーグなんですが、ディズニーの拝金主義のもとスターウォーズを貶めている戦犯の彼女に、スピルバーグは内心、我慢ならないのではないかと思います。想像ですけどね。何かと大人な発言をしてしまうルーカスに比べて、スピルバーグのブレない批判魂、すごいな。

なのでとても心配だったのですが、蓋をあけたらちゃんと『インディ映画』になっててホッとしました。主人公の相棒が美人のペテン師とスリ小僧。しかも映画の終わりまで反省もしないし罰も受けない。いやぁ妙なポリコレ配慮なくてよかったです。
1作目から観てきたおじさんには、もうそれだけで十分ですよ。
(画面の見え方とか、すごいカーチェイスだけどなんかちょっとだけ下手くそとか、終盤のトンデモ展開とか)絶妙なスピルバーグ映画感にあふれてたりするし、SF要素をもっともっと取り入れたかったルーカスの意向をすこーし反映してたりするのは、監督のジェームズ・マンゴールドの手腕かな。

そんなこんなで、長いのも許す。注文はホント以下2点だけです。

・冒頭のディズニーマーク。違和感ありまくりでノイズに。これがなかったら、そしてパラマウントが出てたら、もっと『インディ映画』として楽しめたのに。
・(これは日本ディズニーのせいかな)日本語タイトルの「と」! インディの映画タイトルに「と」はいらないんだよ! ハリーポッターじゃないんだから。

(ポスターでインディの名前が2行になってるのも、日本版ではとくに微妙に変な書体になってるのも、ほんとは気に食わないんだけどね)

【追記】
戦犯もう一人いた! 翻訳の戸田奈津子御大。海で人間を襲ってくるのは、ウナギじゃなくてウツボだよね。
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