イタリア映画祭にて鑑賞。

最低最悪な旦那と使えない兄や両親の面倒などなど、ストレスに張り詰めた生活がひしひしと伝わる作品。

人は見たいものが見え、信じたいものを信じる生き物。
旦那から渡されるお金が高利貸しで得た汚いお金だったとしても、お金が必要ならば旦那の嘘も信じる。まさか旦那が悪事を働いているとは思ってもみなかった、ではなく、悪事を働いていると信じたくなかっただけなのよね。旦那に騙されたのではなく、自分に騙されたという心理描写はおどろおどろしい。

今を映すのは全てモノクロで、幼少期の回想シーンがカラーという表現もやはりおどろおどろしい。
途中途中、主人公の見せる表情を切り取り宗教画のように映すところや、全体的にミュージカルのように台詞が入るところなど面白い。

余談だけれど、音楽が好きな家庭ってステキだなぁと思ったわ。

イタリア映画祭2016。
何だこの容赦ない子供たちからの風当たりは…。何とも可哀想なアンナ。過酷な過去を背負いながら子供たちのために両親のために自己を犠牲にしてきたアンナ。一寸ぐらい夢を見たっていいじゃないか。彼女の追い詰められた心情とは裏腹に、映像ギミックや挿入歌への歌い重ね等、滑稽な演出に徹底していて面白い。この典型的な悲喜劇の演出でのコテコテ感で好みが分かれそうだが、自分はとても気に入った。
重要な意味を持たせたモノクロvs.カラーの対比は最後までそのバランスから逆でも良かったのでは…？と見ていたのだが、ラストのカラーが悲しいくらいに効いていて納得。それにしても可哀想なアンナ。

これもまた不幸な「女の一生」モノ。
クズ男と結婚し必死に育てるも、家族の歪みに気づく子供達、自分が職を得れば代わりに誰かが追いつめられる。
ストップモーションをパラパラ動画にしたり、墨絵のような雲を加えたり多彩な映像効果でヒロインの心理が描く。

強迫観念と妄想と餓鬼畜生のような人間による、極彩色の生き地獄。